スクウェア・エニックス (2018-02-13)
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無事、最後まで読み切る事ができました。いやー、すごく面白かったです。
実は漫画から入ってしまったもので、本家本元のライトノベルは読んでいないにわかなのですが。漫画版は小説の2巻までの内容らしく、そこから先は原作で追い掛けたいなー、と思っている所です。
もしかしたら、今学生ですバイトもしてません! という人には、あんまりピンと来ない内容かもしれません。当時の自分だったら読んでもいないような気がします。
でも、社会人経験があったら染みるんだ。いや、染みて欲しいという願いもこめて。
今回は、そんな『29とJK』についての紹介などできれば良いなと。
あまりにも奇抜すぎる設定の話。
この作品は、『そんなんアリなんすか』と思わず言いたくなるような、あまりにも聞いたことがないあらすじから始まります。主人公はコールセンター勤務のサラリーマン。漫画喫茶で時間を潰すのを趣味にしていた所、そこでJKと出会ってしまい、しかもそんな出会いから告白され。
それをフッた所、今度は社長呼び出しを喰らい、業務命令でそのJKと付き合う事になるという……。
そんな話は聞いたことがない!
もっとこう、作品のテーマってわりと抽象的だったりするじゃないですか。あ、そんなテーマもあるよねとか、あーそういう主人公も面白いねとか、なんか想像に溢れた、そういうものが。
コールセンター勤務ですよ。コールセンター。いるいる! めちゃくちゃ現実的。
でも、起こっている出来事はだいぶファンタジー。業務命令で付き合うってこたあないでしょうよ。
そんな、現実と空想の狭間のような奇妙な空間が、ここには展開されていて。
じゃあ内容が微妙かと言われると、これが見事に繋がっていくんですよ。全部必要な設定。歳の差にもちゃんと意味が生まれている。
ありそうでなかった作品は沢山ありますが、どちらかと言うとこの作品は『なさそうだけど、ある』的な何かだと思います。
後悔とか挫折とか、努力とか。
そして、そんな奇抜な設定の上に何が練り上げられているのかと言えば、社会人になってわりと年数が経っているこの主人公、様々な挫折と妥協の上に成り立っており。夢があって、一度は何かを目指したけど駄目だった人って、本当に多いと思います。それはきっと、そのまま成功した人よりも遥かに多いはずで。
そんな、挫折した全ての人達を代表するかのような設定の上にいる主人公。これがまず、惹きつけられてしまいます。
彼には未来がなく、夢らしい夢もなく、とても現実的な暮らしをして、現実的な問題を抱えている。
対して、夢と未来に満ち溢れているヒロイン。JKなので、まだ養われる立場の人間なわけで。大人としての生活や現実感がない代わりに、それを希望と目標で埋めていると。
こういう対極にいる二人を土台に据えた物語なわけです。
この構図を生み出すための設定とファンタジー要素だと言うのならば、これはとっても納得だし、受け入れられます。冒頭の奇妙な設定でさえ、珍味のようなうまさを醸し出しており。
そんな二人が立ち向かう敵は、現実感のある主人公にしてみれば『社会問題』と『過去との決着』。
夢を追い掛けるヒロインにしてみれば、『大人の壁』と『未来への挑戦』。
そんな『雑味あるストレート』とも言えそうな二つの混ざった物語に、やがては惹き込まれ、ページをめくる手が止まらない。
やっぱり原作も1巻から読もうかな……。
というわけで、『29とJK』は、夢を諦めたすべてのサラリーマンにおすすめしたい作品だなあと。そんな事を考えております。
なんかちょっと萌え要素ある感じですが、中身を開けてみるとそういう成分より、社会人のリアル的な側面の方を強く感じます。
挫折しても努力家な主人公には尊敬の念すら覚えるし、過去の痛みは本当に痛い。このリアルな部分は、あらすじだけでは中々伝わらない部分でしょう。
原作読みたいなーと思うのは漫画が素晴らしかったからで、コミックの方もすごい迫力なので、気軽に手に取れるこちらから読んでみるのも良いかと思います。
いやー。私も、過去の自分はいつだって思い出したくないですわ。
お後がよろしいようで。
スクウェア・エニックス (2018-02-13)
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