双葉社 (2015-10-01)
売り上げランキング: 4,214
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一昔前、まだこのマンガが完結していない頃に少し読んで、『続きを読もう』と思いつつ、いつの間にか忘れてしまっておりました。
コミックシーモアの無料コーナーに並んだのがキッカケで思い出し、完結していたという事を知り、大人買いしてイッキ読み。
いやー。衝撃を受けました。
話のインパクトが大きくて、数時間くらい何も手に付かない状態でした。それくらいすごかった。
あまりに深い構成に何度も読み返しまして、一段落ついた今、これはすごい作品なんだなと。改めてそう感じております。
いや、たぶん人を選ぶんです。それは間違いないと思います。
少なくとも、行き帰りの電車でつまみ食いをするように読んだり、ちょっと休憩して楽しみたいなとか、そういう風に扱える作品ではないなあ、と。
でも、話の序盤から最後に至るまで、ただの一度も退屈だと感じた瞬間は無かったですし、その後のIfにもある種救われたなと、そういう風に思います。
1度読んで感動、2度読んで意味を理解し、3度目で作品の本質が見える。
タイムリープと言えば主人公、というイメージが私としては強くあるのですが、この作品はわりと珍しい、自分以外の人間=ヒロインが時間を超える設定として始まります。この、『主人公の視点ではこう見えている』をある意味でのトリックというのか、トリガーにして、長い一本の物語が形成される、といった仕組みになっています。
読み始めたばかりの時は少し不安もありましたが、実際読んでみるとこれが秀逸で、話を全編通して読むことで初めて理解できるシーンや台詞が沢山出てくるようになっていて。
ここがすごいなあ、と思うのです。
故に、一度読んだだけではその作品の全貌は分からず、細かい部分も理解しようと思ったら、何周か読んでみないと意味が理解できない事も多々。
まあ、それで何度も読み返していたのですけれども……。
それでも、読み返すことで作品への感動が薄れたりですとか、そういう事はありませんでした。
最短距離という言葉がとてもしっくりくる纏まりの良さで、どこまでいってもテンポが衰えない。それぞれのシーンにちゃんと意味があるので、『ここつまらないよなあ』ということが少ないんだと思います。
登場人物もうんと絞って、物語に重要な影響を与えるキャラクターしか残っていないので、親近感が湧いてきます。
話が進んでいくにつれて、『あれ?』と思うことはよくあるのですが、読み返した時に先を思い出して、『あれ?』となるのは、この作品だからこそのポイントではないでしょうか。
ぜひ一度ではなく、何度か読んで頂きたいなあ、と。
物語はハッピーエンド・バッドエンドの二択ではない事を教えてくれる。
この話、読んで頂ければ分かるのですが、ハッピーエンド・バッドエンドと単に括れるような形にはならないことが、読み始めるとすぐに分かります。そのため、『一体どうなるんだ?』は最後の最後まで分からないのですが、最後まで読み切ると、『あぁーそうなったかー』と、ある種の安心というのか、落胆というのか、その両方を感じるというのか、複雑な心境に駆られます。
この感覚がとても珍しく。登場人物それぞれの意思決定の重みというのか、そんな事を最後に考えされられてしまいました。
いやー、すごいんですよこれが。
だから、1~4巻、Ifの5巻とありますが、ぜひIfの方も手に取って頂きたいな、と。
展開が違えば登場人物の判断が変わり、全く違う話になるというのが。これまた、とてもリアルだなあ、と。
登場人物全員を幸せにしようと思ったら、Ifを入れるしかないんですよね。展開的に……。
いやーこれ以上はネタバレになってしまうのでちょっと抑えようと思うのですが、このラストの展開は非常に個性的で、とにかく感動するので、ぜひにと思うところです。
……ただ、こういう深みのある作品なので、肩の力を抜いて読めないんですよね。人を選ぶというのは、そういうポイントかなと考えています。
でも、しっかり腰を据えて読む作品が好きという方には、もうすごくオススメしたいです。すごく。とても。
ということで、久々にクリーンヒットした作品でした。おかげで当分他の作品を読む気になれなさそうです。
……と言いつつ、多分色々読むんですけどね。
ここ数年でこの手のズッシリくる作品は、『聲の形』『メイドインアビス』あたりが一番かなと思っていましたが、この辺りに食い込んできそうです。
まだまだすごい作品ってあるもんですね。
お後がよろしいようで。
双葉社 (2015-10-01)
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