浮遊する無名作家の浅慮

朝、仕事に行く父と幼児の関係はまるでトイ・ストーリー

朝、仕事に行く父と幼児の関係はまるでトイ・ストーリー


最近、仕事に出る時がつらくてなりません


まだ7月入ってからの出来事なのですが、私が家を出る時に1歳になる息子が毎度、すごい引き止めをしてくるようになりました


白いシャツを着る日=仕事


というのがどうも予想され始めたようで、朝シャツを着て準備を始めたあたりから、なんだかそわそわし始めます

「うぉぉぉーう」

まだ言葉が出て来ないので、なんか独自の言葉で喋り始めるのですが、正直何を言ってるのかよくわかりません

息子の前に立ち、大体は何かの車を手に持っている息子に一言

「お父さんね、これから仕事に行かないといけないんだ」

話せなくても意味は伝わる様子

「……」

無言の圧力がすごい

立ち上がる私

無言の眼差しがずっと私を向いている

妻も様子に気付いて、息子を抱っこすると、言い聞かせます

「お父さんはこれから仕事に行くんだよー、ばいばいしようね」


しかし


無言


先程まで特に何もないのにひたすら笑顔を見せていた向日葵の君

今ではただデコにシワを寄せて仏頂面を見せているライオンの君

痛い

痛い視線を誤魔化し笑い、「じゃあね」と一言、背を向けて立ち去ろうとする私

「ウオオオオアァァァァァ――――!!」

この叫び方ちょっとワンピースっぽいな……

ゴムゴムなんとかのような技名を叫ぶ勢いで母親の腕から逃れる息子

そして迫り来る息子

既に分かったようです


父親は仕事に行くのだと


決まって玄関前まで恐るべき速度で追い掛けて来て、私の膝を借りて立ち上がり

両手を上げる訳ですね

抱っこして!

引き止めモード開始です

抱っこして欲しい訳ではなくて仕事に行って欲しくない

そんな事は分かっているのですが、言われるままに抱っこします


「ふへっへへへ、ふへへ」


勝った。


長き戦いも終わりを告げたのだ。我々は勝利し、そして平和が訪れる……!

満足そうに笑顔を浮かべる息子

そんな息子の背後から、ぬるりと伸びる手


「お父さん仕事だからばいばいしようねー」


かあちゃん!!

「イヒァッ!! ヒアァァァァ――――!!」

さっきとは打って変わって、ものすごい勢いで泣き始める息子

でもちょっと笑ってるようにも聞こえるのはなんでだろう

たぶんさっきまで笑っていたから

笑い泣き

でもそれは次第に、本泣きへと移行していきます

玄関扉を開けて、扉の向こう側から手を振る私


「ごめんね。ちゃんと帰って来るからね」

「イヤアァァァァ!!」


片手を伸ばして引き止める泣き顔を見ているといつも、私は思い出します

シドの部屋の窓からバズの片腕を持ち、必死に助けを求めるウッディの姿

続々と仲間が消えていき、最後にウッディはこう叫ぶわけです



「スリンキイィィィィィ!!」



まさにアレ

トイ・ストーリーのアレ

しかも初代じゃん……

「スリンキイィィィィィ!!」

保安官。ちゃんと夜には帰って来るからね。

今日も平和だなあ

お後がよろしいようで。


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