北野 唯我
ダイヤモンド社
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「今より悪い所には行きたくないけど、とにかく転職したい!」
そんな事を考える方、やはり多いのではないでしょうか。この本はですね、そんな悩みについて、真正面からぶつかっていくような本でございます。
ということで、今回は『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む転職の思考法』です。なんてド直球なタイトルでしょうか。スカッとしますね。
随分と久しぶりに、自分の事をやっているような気がいたします。いやー、最近色々あってかなり忙しいもので。
そんな中、私も転職を視野に入れつつ仕事をしていくべきではないかと考えるに至り、この本を手に取りました。
転職って難しいですよね。人間関係をリセットして新しい場所に飛び込んでいくので、では前の環境より良くなるかと言われれば、確実ではないから辞められない。そんな心境の方も多いのではないでしょうか。
この本は、そんな方に是非読んでいただきたい一冊です。
転職は裏切りではない。むしろ逆だ。
『転職は裏切りではない』。この本では、はっきりとそのように書かれており。転職したいけれども、転職に対して罪悪感を持っている……という方には、少し嬉しい内容となっております。
かくいう私も転職の経験がゼロかと言われれば勿論そんな事はない身でして、前の会社を辞める時に、まさにこんな台詞を言われた事がございます。
「じゃあ君は、我々を裏切って転職しようというわけだ」
まだまだ、言われる事が多いキーワードではないでしょうか。今となっては私が誰かの転職相談を受ける身、こういう事は言わないようにしようと考えているのですが。
この本では、『転職できない人間がしがみつくように残っている会社こそ悪であって、転職する事そのものは会社にとっても社会にとっても良いことだ』というような事を説いております。
いつでも転職できる人間が、それでもその会社に残っている。そんな会社が最強だと。
言い換えるなら、いつでも転職できる人間が転職してしまう事態というのは、むしろ会社の方に問題があると示しているようなもので、転職する人間自体が悪い訳ではない。そんな所でしょうか。
これだけ見ると賛否両論分かれそうな意見ではございますが、私は……このくらいドライでも良いのかな、と考えました。
給料が安すぎて生活できない場合ほど重要度は高くないかもしれませんが、ある程度生活水準が満たされるだけの給与が入って来ているなら尚更、会社を辞める事には必ず理由があると思うのですよね。
たとえばそれは、社内の人間に問題があるとか……
会社の仕組みに問題があるとか……
やっぱり利害関係を共有しつつ、信頼関係を構築できている場所というのが、仕事をするに当たって最も心地良い場所だと思いますので。逆に言えば、仕事から逃げたくなる瞬間って、共通の利害関係が築けなくなっている時か、信頼関係が壊れてしまっている時なのではないのかな、と。
転職をギャンブルにしないために。
そこで、どのようにして転職をするのかという所までが、この本に記されている内容なのですが。これはですね、かなり事細かく書いてあり、転職をしたい方にとって役に立つ可能性は、かなり高いのではないかと考えます(既に内容をすべて知っていた場合は、もちろんその限りではありませんが……)。内容も小説のように進んで行きますので、とても読みやすく、話が頭に入って来やすいなあと感じます。よく考えて作られているのだなあ……。
特に、『どんなスキルを持って転職に挑めば良いのか』という部分はとても詳細で、年代ごとに何を武器にして挑むべきなのか、はっきりと記されています。
書きにくい事も多いでしょうに、ここまでぶっちゃけて書いてしまって良いのでしょうか。そんな思いさえ感じられましたよ。
『転職こそ正義』という訳ではもちろん無いと思いますが、『転職しても絶対に機能する自分づくり』をするというのは、どこの会社にも求められる事ではないでしょうか。だからこそ、このように書いてあるのだと思います。
転職をするにあたり、「ただなんとなく嫌だから辞める」というだけでは、次の会社を目指すために有効に働くことはありません。
そこに残っているのは、「こいつは気に入らなければすぐに辞める奴だな」という評価だけでしょう。会社も人件費というリスクを背負って人を雇い入れる訳ですから、できれば有能な人を入れたいと、どこも考えます。
つまり、転職をギャンブルにしないためには、相手に人件費を払っても良いな、と思わせる人間づくりをしなければなりません。
業界に必ず通用する重要なスキルを持っているのか。
それとも、会社に貢献できる人間的魅力であったり、はたまた人脈を持っているのか。
転職転職と書いてありますが、逆に言えば『条件が揃わなく、また致命的な理由が無いのであれば、自分自身の向上に目を向けるべきであり、今の会社を辞める直接的な理由には成り得ない』と、冷静にストップをかけるための一冊でもあるのです。
この絶妙なバランスと言うべきか、筋の通った理屈には感銘を受けました。転職一本で、ここまで深い内容になっているなんて。
ということで、できれば転職をしない人にも、一度は読んで頂きたいなと。多くの場合損はしないのではないかなと、そんな想いで締め括らせて頂きます。
終身雇用も年功序列も成立しなくなっている昨今、自由であると言えば聞こえは良いですが……これは違う角度から見てみると、『結果を出せない人がどんどん厳しい生活を強いられる環境になった』と言い換える事もできると思います。
それは会社も同じで、体力が無ければ人を採用する事も難しく。そう考えると、雇用の形はこれからどんどん変わっていく事が想定されますよね。
転職する事が良いか悪いかではなく、もっと長い目で見て、『今私達が生きていくために、何をすれば良いか』といった事を考えていかなければならないのかな、と。
それを考えるきっかけとなる一冊が、この本であれば良いのになと願うばかりでございます。
いや、しかしこの本は純粋に読み物として面白かったです。続編があれば読みたいものですね。
それでは、お後がよろしいようで。
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