浮遊する無名作家の浅慮

相手の気分を害さずに、人の作品に意見する方法。

相手の気分を害さずに、人の作品に意見する方法。


「この作品、なんだか急に面白くない……!」


そんな言葉を、思わず言ってしまう事はございますでしょうか。

最近ではWebの進歩によって、Web上で作品を目にする機会が増えました。そうすると、作者の方と直接コンタクトを取る事も容易になりましたよね。

気軽にコメントを送ることができるようになったのは、大きな進歩なのですが……周囲では、作者とユーザの熾烈な戦いを目にすることも多くなりました。

たとえばユーザ側の意見であるとすれば、

「作品を楽しむのはユーザなのだから、ユーザの言うことは素直に聞くべき」

といった事であったり、逆に作者側からすれば、

「ありのままの状態を楽しんで欲しい。批判は求めていない」

なんて事が言われていたりもします。

ええ。私もやはり、どちらも聞いた事がありますよ。どちらが正しいとも、間違っているとも判断できませんが……。

やはり人と人とのコミュニケーションである事に違いはありませんから、できれば気持ちよく、好きな作品の話がしたいですよね。

少なくとも、「この作品に面白くあってほしい」と願うのであれば!

……ということで今回は、『どのようにすれば相手の気分を害することなく意見ができるのか』という視点で、ひとつの記事として書かせて頂ければなと。






指摘は、指摘する方が思っている以上に破壊力がある。

それでは早速、コメントをしよう! メッセージを送ろう!

……それは勿論OKなのですが、それがネガティブな意見になる可能性があるとすれば、少し注意も必要になります。

正直に意見した方がいい。はっきり言った方がいい。……それも確かに、ひとつの美徳ではありますね。


しかし、ひとつ念頭に置いて頂きたいのは、『作者にとっては、ユーザの声が100%すべてである』という事です。


賛成意見。反対意見。作者の方はそのどちらもを、ユーザの感じている何倍かの神経質さで観察するように、受け取っています。

誰でもそうだと思うのですが、やはり一生懸命、魂を削って作った作品には、愛着があるものですよね。

中には、『自分の作品が恋人』と言っても良いくらい、自分の作品を愛していらっしゃる方がいます。いえ、沢山いらっしゃいます。

そういった方々に対し、気軽に「これクソつまらないんだけど」と言う行動は、たとえば自分の恋人のことを、親しい友人が「うっは、お前の彼女マジでブスな!」と言っているに等しいのです。

わりと、鈍器で殴られたような衝撃を受けます。

こうして考えると、対面していれば普通、言わない言葉ですよね。相手の顔が見えないと、ついつい本音が出てしまうものです。


でも、その一言で……もしかしたら、その人が作品をつくるのを止めてしまうかも……。


面白くない根拠を個人的に見出していたとして、仮に「作品を面白くするため、作者を鍛えてやろう!」と考えて言った事だとしても。それは何らかの形で、必ず作者にダメージを与えます。

作者のHPを0にしてしまう可能性を持った行動である事に、変わりはないのです。

ということで、「この作品に面白くあってほしい」と願うのであれば、言い方を工夫する必要があります。


どのようにして、人の作品に意見すれば良いだろうか。

上記のようなリスクを伴っていたとしても、時にはどうしても必要があって、人の作品に意見したくなる事があるかもしれません。

そこで、どのように指摘すれば良いのか、という問題について、少し考えていきたいと思います。

まず……ひとつ言えることは、『相手に敬意を払い、配慮した言葉にする』という所でしょう。

たとえそれがWebであっても、相手の顔を見て話す時と同じようにコメントする事を心がけると、少し言葉が柔らかくなります。

その上で、自分の個人的な意見である事を主張しましょう。

『自分の意見=全てのユーザを代弁した意見』ではないものですから、反対意見が1~99%の範囲で、ほぼ確実に居ます。

もしかしたら今のままでも、十分に楽しめているユーザがいらっしゃるかもしれません。いえ、Webに公開しているという事であれば、それはおそらく居るでしょう。

その上で言う訳です。「それでも、この作品には是非、もう少し良くなってもらいたい」と。ならば、ともすれば相手が傷付いてしまうかもしれない言葉は、極力避けたいですよね。

人間とは難しいもので、率直な意見=誠意であると、必ずしもすべての方が考えてくれるとは限らないものですから。

また、原因と解決策をこちらから提示しない事もひとつ、重要なポイントです。

「あなたの作品は○○に問題があります、何故なら原因は○○~、解決策は○○~」というのは、一見して筋が通っているように見えますが……

多くの場合、作者の方が考える解決策と、ユーザの方が考える解決策は、かなり視点が違うものです。

無理に解決策を提示すると、その通りに実行された時、作品の他の部分に歪みが出てしまう事があるかもしれません。

なので、ここは作者様にお任せしてしまいましょう。

やはり、自分の作品を操作するのは、作者が一番得意なものですから。



まとめ。

……ということで、以下の点に気を遣えば、最低限相手を傷付ける事はないでしょう。
  1. 自分はこの作品を楽しんでいる、またはこれから楽しみたいユーザである、という意思表示をする
  2. あくまで自分の個人的な意見であることを、最初に主張する
  3. その上で自分がどう感じたのかを、できるだけ素直に記述する
  4. 原因と解決策は作者が考える事なので、思い付いていても提示しなくていい
  5. 最後に応援する
これに気を付けてみると……あら不思議。いつの間にか、このコメントは文句ではなく、応援になっているではありませんか。

作品に意見をしたくなったら、逆に応援にしてしまいましょう。作者の方のモチベーションも上がります!

このように提示することで、ユーザ・作者のどちらも、相手に意見する・意見を受け入れるというストレス・コストを、極限まで低くする事が可能になります。

自分の好きな作品にはですね、是非これを積極的に取り入れてコメントして頂ければ、創作の明日は明るいのではないかなと。

そのような事を、考えるばかりでございます。

指摘するというのは難しい技術ではありますが、できればお互い気持ち良く、対処していきたいものですよね。

お後がよろしいようで。


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