浮遊する無名作家の浅慮

『ゲーマーズ!』の2期を、ひそかに希望している。【ライトノベルレビュー】

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2015-04-24)
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夏アニメ、私としてはわりと激戦区で、楽しめるアニメが多かったように感じております。

そんな中、今回は葵せきな先生の『ゲーマーズ!』をイチ押しさせて頂きたいなと。やはり怒涛の2017年を締め括る上で、こちらのレビューは外せないだろうな、と感じる所でして。

私は毎度の事ながら、アニメから入って原作を読んでいくクチなのですが。こちらの作品、ラフで多様なギャグを織り交ぜていくスタイルながら、実は非常にストイックな群像劇の要素も含んでいるのではないかと。ええ、そのテンポの速さはミサイルの如し。

まあ語彙力高い系の難しい言葉で表現しますと、「やべえええぇぇぇめっちゃおもしろいヒャッホオォォォォゥ!!」といった所ではないかと感じております。

群像劇で心を動かされたライトノベルといえば、すぐに思い付く所では成田良悟先生の『BACCANO!』なのですが……

物語が複雑に絡み合うという視点では若干似ている要素があるかもしれないものの、正直まるで作風は違いますしジャンルも違うのですが、なんだか似たような面白さを感じてしまいました。

今回は、そんな『すれ違い青春錯綜系ラブコメ』の内容につきまして、少しばかり触れさせて頂ければと。





 5人の登場人物が織り成す、明後日の方向に突き進むストーリー展開。

いや、確かにツッコミは居るには居るんですけど、我々がツッコミたいのはそこじゃないんですよ。ストーリー展開の方なんですよ。

と言わんばかりに、主要な5人の登場人物がうまい具合に全員勘違いをしており、それが原因で話は複雑になっていきます。

やはり、この作品の魅力はここに集約されているのではないかと思う所でして、真面目な言葉で表現するのであれば、「おい誰かツッコめ――――!!」という要素があるのではないか。

同じラブコメでも、ここまで相手の気持ちについて勘違いを続ける作品というものはあまり見たことがなく。ましてそれが5人ともなると、もう何が何やらと言いますか、もう本当に何なんですか。どういう路線なんですかこの話は。

しかしながら……いや、そういう路線なんです。と言わんばかりに、読者の予想を裏切って期待を裏切らない。そのように、話は進んでまいります。

なので、ゲームが好きだとか、ゲームの関連する話が読みたい! といった方は、若干肩透かしを喰らってしまうかもしれませんね。確かにゲームは出て来るのですが、これはラブコメです。ラブなコメディがメインなのですよね。

逆に、ラブコメ好きな方には力いっぱいおすすめさせて頂きたいと。

特にですね、ヒロインの壊れっぷりであったり、その暴走ぶりは『彼氏彼女の事情』の前半に通じるような衝撃があり、見ていて飽きません。ヒロインだけではなく、登場人物全員がそうなのですが。

カレカノを初めて読んだ時も、「少女漫画の世界で、主人公がヒーローのみぞおちに飛び蹴り……だと……!?」といった驚きがありましたが、それに勝るとも劣らず、笑えます。

笑うだけでなく、先の展開が気になってしまうのは、やはり登場人物の誰かを応援したくなるからでしょうか。

いやー、ずるい作品です(いい意味で)。



 徹底的に『勘違い』を追求したセンス。

このお話の最も魅力的な所は、こうしたドタバタな展開が大筋から重箱の隅に至るまで丁重に張り巡らされ、それが複雑に絡み合うが故に、『それぞれの登場人物が勝手に暴走を始めて、しかもそれを治める人間がどこにもいない』という部分ではないかと思います。

物語を全体から見ていて、それぞれの登場人物にアドバイスをする人間がいない。……そうすると、それぞれの登場人物はそれぞれの視点から出来事に直面するので、勘違いは勘違いを呼び、怒涛の勘違い祭りが始まってしまうと。

犬と人と、こんなに小さな箱の中に入って、狭くはないのかしら。と、どこぞの守護月天を思い出します。

これはやはり、初めてみすず学苑の広告を見た時の『意味不明さが意味不明さを呼び、怒涛の意味不明祭りが始まってしまう』感覚とそっくりなのではないか。

むしろ、『ゲーマーズ!』のキャラクターに怒涛の真実を個人指導したいと。そのような所ではないのかと。

ところで、みすず学苑の広告は面白いですよね。

話が逸れました。ええ、全力で。

アニメで言うと、第1話がわりと普通(2話から本領発揮)な部分があると感じるものですから、1話で観るのをやめてしまった方は少しばかり勿体ないな、と。私は、そのように感じます。

実際、第1話の時点では我が家も「……どうする? 続き見る?」といった様子だったのですが、第2話を見た後では「これ面白いな!」となっておりました。

群像劇は、中々どうしてスロースターターなものですね。超ドリル!

ということで、かなーり特殊ではあるのですが、分類としてはこれも群像劇なのではないかと、私は思うのですよね。感じ方は人それぞれだとも思いますが。




いや、面白いんですよね、ゲーマーズ。でもアニメは後半から若干、失速したような気がしており。そこが低評価に繋がらなければ良いなと、私は考えているのですが。

ひとまず原作で続きを読もうと奮起しているのですが……読むのが遅い私はいつになる事やら。

そんな訳で、アニメの第2期が来ないかなあと、ひそかに希望しております。

円盤売り上げから言うと、少し厳しいような記事をお見掛けした事もあるのですが。……どうなのでしょう。

ひとまずは、そのような所で。

しかし、ラブコメも一芸に秀でたものが増えてきましたね。三角関係どころか、五角関係とは。

コメディ成分の強いラブコメが好きなので、このような作品がもっと増えてくれると良いなと思っております。

お後がよろしいようで。


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