幻冬舎 (2017-04-11)
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「憲法がもう少しだけ、読み易かったら……」
長い人生の中で一度くらい、そんな希望を持ったことはありませんでしょうか。
ちなみに私もですね、仕事の契約関係で、稀に若干ビジネス法務っぽいお仕事をさせて頂く機会がある時もあるものですから(と言いましても、わりと飾りのようなサポート業務ではありますが)、そういった契約書を見るたび、切望せずにはいられません。
もう少し。もうちょっとだけ、読み易かったら。
こちとら、法学部でもなければ大学にすら行っていない、まだまだヒヨッ子の独学者なのですよと。
そんなあなたに朗報でございます。
……ということで、なんだか胡散臭い語り出しになってしまったような気がして若干恐縮ではございますが、決して怪しい記事ではございません。今回は塚田薫さんという方の、『日本国憲法を口語訳してみたら』という本のレビューでございます。
しかしですね。とある会社の方が見付けてきたこの本。読んでみたら非常に面白く、興味深いものでした。
『なんかイイ感じ』に口語訳された憲法の条文。
前半は、本当にその名の通り、日本国憲法の条文をそっくりそのまま口語訳してしまった、という所からスタートいたします。口語訳と言っても、単にちょっと簡単な言葉になったというだけではなく……出てくる言葉は「俺たちのガキ」とか、「こんなんどう」とか、「やっぱ平和がいいと思うし」とか……
そうなんです。この本、日本国憲法という重いテーマを扱っておきながら、このような軽いタッチの言葉で『なんかイイ感じ』に訳されているのですよね。
ここが最も大切で、この本のキモとなる部分なのですが。この独特の語り口が、読んでいてどうにも惹き込まれてしまいました。これが憲法。それでいて、内容はちゃんとした法律の専門家が直している事もあり、なんと申し上げましょうか、非常にストイックです。
この、『ふんわりかつ厳格』『独特でスマート』というユニークさは他のどの本にもなく、一線を画する内容であると言えるのではないでしょうか。
いやー、なんだか可愛らしさのような要素を感じてしまい、私としては大変面白かったです。
こういった本が出るのであれば、憲法にも愛着が持てますよね。
あ、本当の条文も照らし合わせながら確認する事ができますので、決して口語訳だけで終わりにはなっておりませんよ。そこはまあ何と言いますか、安心できますね。
『現代の憲法問題』に関しての情報も。
後半は、何かと問題になりやすい憲法の様々な部分について、コラムのような形で体当たりをしたような内容になっておりました。たとえば集団的自衛権の問題や、生活保護費の問題などについてですね。
内容としては当たり前の事なのかもしれませんが、私としては現状を様々な角度から再確認する事ができて、大変ためになりましたよ。
法律って、なんとなく知っているレベルの人間からすれば『分かっているつもりになりつつ、実は分かっていない事も多かったりするもの』だと思うのです。
なんとなく分かってはいるものの、個人的な見解の領域を出ない感想になってしまう。だから、憲法の問題に関しては自信を持って意見を言えない。そういった方も多いのではないでしょうか。お恥ずかしながら私もそのクチでございます。
そんな、私のような立場の人間からすれば、ある賛成意見に対しての反対意見など、両方の立場から考えられているコラムは、非常に分かり易くてありがたい。
そして、前半のふんわり感を崩さずに来ている所も良いのではないでしょうか。
また、『憲法ってどうやって生まれたの?』『憲法9条ってなんでそんなに大切なの?』といった、誰もが注目しているけれども、でも知らない方も実は多そうな内容を扱ってくれているというのも、これは大変ありがたいと感じましたよ。
月並みな言葉で恐縮ですが、「へえー」と言わせてくれるような内容が多い事がうれしいなと。法律の本で雑学や歴史が吸収できるというのも、他ではあまり見ないような気がいたします。私の勉強不足かもしれませんが……
ということで、今回は法律の本の中でも、特別に砕かれた表現の本を紹介させて頂きましたが。
こちら、会社の同僚がとある課題で見付けて来た本なのですが、「なにそれ面白そう」ということで、何やら社内で少しばかり盛り上がっており。
そこで、口語訳ブームが起きることは……たぶん無いのでしょうけれども。
しかし、詳しくなければ分かり難いもの、知識がなければとっつきにくいものを分かり易くして人に広めようというのは、改めて私としては、これは大変にありがたいなと。
このような本が、もっと増えればいいのにと願うばかりでございます。
お後がよろしいようで。
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