浮遊する無名作家の浅慮

『青のフラッグ』がですね、面白いんですよ。【漫画レビュー】

青のフラッグ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
集英社 (2017-04-04)
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昨今恋愛ものばかりレビューしているような気がいたしますが、本日ご紹介させて頂きますのは、少年ジャンプ+から、KAITO先生の『青のフラッグ』でございます。

こちら、『第3回 次にくるマンガ大賞』という企画のwebマンガ部門で堂々3位を取得したとの事だったのですが、私としてはこれまで触れる機会がなく。単行本も2巻が出版されようかという状況で、ようやく手にした次第でございまして。

いやー、しかしですね。嫁様が「これは読んだ方がいい」と勧めて頂いたので、読んでみる事になった本作。非常によくできております。これはすごい。

一見してどのように成立するか分からない『青のフラッグ』ですが、読んでみると既にその意味がなんとなく分かってくるという……。

いえ、まあ想像の範疇ではあるのですけどね。本当にこれが、青のフラッグなもので。なるほど! と感心させられてしまいました、というところで。

噂になっているだけで、実は違ったらどうしよう。

そんな『青のフラッグ』のタイトルの意味について妄想したい方は、是非本編を読んで頂くと良いのではないかと。



 単純明快なだけに、考えさせられるストーリー。

やはりですね、私は全ラブコメに伝えたい。物語は分かりやすくて、はっきりしているものの方が良いのではないかと。

思わずそのように考えてしまう程には、ストーリーが単純明快。だからこそ、登場人物の心の動きが細部まで見えてくるという所もあると。

確かにあらすじだけを読んで行くと、これはもう説明するのも憚られるほど分かりやすく。「ああ、そうなるだろうな」と思った展開は大体先に読み進めていくと、本編でやって頂けると。

そこまではまあ分かりやすくて良いね、という所なんですが、このお話のすごい所はそのように分かり易い話でありながら、テンプレートをなぞっている訳ではないと。

だから、次から次へと予想していない展開がやってくる。

知らなかった、この雰囲気。この感触。……そのようなところで。

メインの登場人物が4人ほどいらっしゃるのですが、それぞれに特徴があって、感情の機微が見えて来る所がすばらしい。誰にでも感情移入できるが故に、全員のスタンスに立ってしまうから、誰のフォローもできないと。

しかし、事件は次々に起こっていく。登場人物の気持ちに整理が付かないまま、読んでいる側もどれかの登場人物の立場に寄っていく事なく、ハラハラしながら読んでいく事になります。やがて訪れる事件に対して、それぞれの登場人物が考えている事が手に取るように分かると。こうなった時、その事件の重みが伝わってくる。

重要なのは、それが息も付かせぬ速度で舞い込んでくると。休む暇がないのだと。

そうなるとですね、この『青のフラッグ』の展開に惹き込まれて行くと。私はそんな所に、この作品の面白さを感じております。

勿論ですね、人によって感じ方が違うという事は理解しつつも、私としてはここだな、と思うところで。



 三角関係、そして。

ラブコメと言えば三角関係! ……という事で、本作も例に漏れぬ三角関係モノではあるのですが。これはですね、『三角関係』という言葉で括ってしまうと、やはり勿体無いのではないかと。そう思うからこそ、私は考えました。

やはり、これは『青のフラッグ』という作品なのだなあ、と。

いや、そう思うのはですね。「あー、この作品って○○に似てるな」と思う所が、あんまり無いと思うのですよね。前述したストーリーの展開にせよ、登場人物の扱い方にせよ。

『学園』『恋愛』『三角関係』ここまで揃うと、最近は大体もう、あれっぽいな、これっぽいなと。そこまで似ている事は無いにしても、「この展開は○○に出て来たあのシーンと似てるな」なんていう事は、もうしょっちゅうで。

そう思わせない辺り、やはりそこにこの作品としての魅力を感じると言いますか。やはりここは、是非見て頂きたい。

特にですね、恋愛モノでよくある嫌い→好きへの転換の仕方などは、丁寧に丁寧に描かれていて、ここにとても魅力を感じるのですよね。ありきたりかもしれないけれど、そうではないと言いますか。

そして、何と言っても登場人物が全員良い奴。

良い奴同士の話はですね、大体ほのぼのとしがちで。本作もどこかほのぼのとしているのですが、それ以上にシリアスな展開が重めで、どちらかと言うとハラハラしてしまう気持ちの方が強いと。

全員良い奴だからこそ、誰も責められない。

みんな好きになっちゃうんですよね。このキャラはちょっとな、とか、いやその行動は無い、なんていう拒否感が殆どまったく無いと。ちゃんとそれぞれの登場人物が行動する所に、明確な理由がついてくる。

なんだかこれを書いていて、また読み返したくなってしまいましたよ。



という事でですね。恋愛がメインの作品が好きな方は、これは読んでみるのもアリではないか。私としては非常に完成度の高い作品だと感じたので、こうしてレビューなど書かせて頂いている次第ではあるのですが。

まあ、先はまだまだこれから、という事実もひとつ、あることはあるのですが。

webで作品が公開されるようになってですね、作品同士の競争度というものが上がったような気がしますね。それだけに沢山の作品が登場するので、良い作品を探すのが大変であると。

そのように感じたならですね、ひとまずは是非、これを読んで頂きたい。

好きかどうかはさておき、嫌いになるような作品では無いのではないかな、と思い。間口が広いタイプの話でもあると思いますので。

それでは、お後がよろしいようで。



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