それは、ある日の休日。いつものように私が買い物へと向かうべく、嫁様と車を発進させた瞬間に、それは起こりました。
「……あれ? なんか変な音する?」
「んーん、特に聞こえないよー」
砂利道を走っているから……? それとも、我々のあずかり知らぬ所で、どこからか音が聞こえて来ているのでしょうか。そのような事を考えながら、一般道のアスファルトへと車を出した瞬間、私は異変に気付きました。
シャアァァァ……ギーコ、ギーコ。シャアァァァ……
確かに音は、私の車から聞こえて来ます。
「……やっぱり、変な音しない?」
「うん、するね……」
雨の日だったので、雑音が多かったのです。アスファルトに出た事で他の音が少なくなり、嫁様の耳にも明らかに『車から出ている』と認識されたようす。
車を購入して3年。遂にこの愛車にも、トラブルが訪れてしまいました……!
そんな出来事を経験して、私は思いました。やはり、JAFには入っておいた方がいい。
……と、今回はそのようなお話です。
車の前輪から、謎の異音……?
慌てて車を邪魔にならない所に止め、外に出てタイヤ等を再確認です。しかしこれが、特に何も異常がない。
パンクしている訳でも無さそうだし、ものが貼り付いたり、刺さっている事もありません。
これには参りました。私は教習所で教わる程度の知識しかないものですから、唐突に音が出てもですね。中の構造がどうなっていて、おそらくこれが原因だろう、などの勘が働きません。
そうこうしている間にも、時間は迫って来ております。買い物に行く前に、病院の予約があるのです。このままでは、病院に遅れてしまうかもしれません。
確かに音は出ているけれども、走っている限りでは特に何かがある様子もないし……その時は、小さな音ではありました。
私と嫁様は、顔を見合わせました。
「……どうしよう」
「とりあえず、最寄り駅まで近いし、動かしてみる?」
「そうしようか」
もしかしたら、走っているうちにゴミ(?)が取れて、音が消えるかもしれません。若干そのような事を期待しながら、再び車を走らせる私達。
しかし、この判断は間違いでした。
アスファルトに出て速度を上げると、先程の音は治まるどころか、どんどん大きくなってしまったのです。やはりですね。異音が出た時は、速やかに車を停止させるべきだったのでしょう。
教習所で習ったではありませんか。私よ、しっかりしなさい。
どうしましょう。これは、嫌な感じがします。しかし、最寄り駅まではすぐそこ。道が狭いので、止まると他車の迷惑にもなってしまいます。
どうにか車を走らせ、最寄り駅の駐車場まで行ったのでした。
とにかく、ディーラーに電話だ!
なんだかヨーヨーが回転しているような、「シャアアァァ……」という音。時折、自転車のブレーキが劣化した時のような、「キイイィ」という嫌な音もします。たいへん耳障りな音です。道行く人に心の中で謝りながら、どうにか駐車場までこじつけた私達。立体駐車場の上、車のあまり来ない所までどうにか走らせると、音の少ない場所で、改めて車を少し動かしてみることに。
外では嫁様が待機し、音を聞いています。
「どこから鳴ってる?」
「左の前輪から鳴ってるみたい」
しかし、やはり何度タイヤを確認してもですね、なんともないのです。中で何かが起こっているようだと。
こんな時は……? そうだ、こんな時はとりあえずディーラーに電話だ!
携帯電話から、ディーラーさんの携帯を鳴らすこと数秒。程なくして、その声を聞く事ができました。
「すいません、今日はお仕事ですか?」
「はい、仕事ですよー」
「なんだか、車の左前輪から異音がするみたいなんですが……」
「どんな音ですか?」
「今、動かしてみます」
嫁様に携帯電話を渡し、音を聞いて貰います。すると、このような答えが返って来ました。
「……あんまり良い音じゃないですね」
「スピードを上げると音も大きくなってしまうみたいで。どうしたら良いでしょう?」
「とりあえず、車はそこに止めて。JAF入ってましたっけ?」
「あ、入ってますよ」
「じゃあ、JAFに連絡してください。30分ほどで到着すると思うので……あ、でも日曜日だから、少し待たされるかもしれません。時間、大丈夫ですか?」
「あー……まあ、大丈夫です」
もう、病院がどうとか言っている場合では。と思ったら、嫁様が対応してくれるとのこと。これはありがたい。
「では、JAFに連絡してみます!」
JAFの美しい対応。
ということで、とりあえずJAFに連絡をすることに。JAFに電話をした事などなかったので少し不安でしたが、せっかく加入しているのです。とにかく利用してみましょう。
なお、トヨタの場合ですと、車検証入れの裏にJAFの電話番号が書いてあります。
……そんな情報もディーラーさんからアドバイスを頂きまして。早速、そちらに電話をしてみました。
「あの、すいません。車の左前輪から異音がするので、電話をしたのですが……」
その後、現在地などの情報を聞かれ、答えることに。
今回私はJAFの会員カードを自宅に置き忘れてしまいまして、会員番号を答えられなかったのです。しかしながら、本人の名前・住所・電話番号の3点セットが分かれば、JAFの方で会員情報が確認できるとのこと。
なんと。うっかり忘れてしまいましたが、まさかそんな対応もして頂けるとは。
これは後で知ったのですが、JAFの会員情報をインターネットから確認・変更する事も可能なようですよ。
その後、電話先のお姉さんから返事が。
「現地にお伺いしますので、30分ほどお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
ありがとうございます。ええ、私は1時間でも2時間でも待ちますとも。
到着予定時刻を伝えられ、私はその間に病院へとダッシュ。意外にも早く終わってしまった病院を後にして、駐車場までとんぼ返りをしまして。
程なくして、携帯電話の番号から私のところに電話が掛かってまいりました。
「すいません、〇〇駐車場に間もなく到着しますので……」
「はい、お待ちしております」
すぐに到着し、私が駐車している横に陣取り、作業開始。実際に車を動かして、音を聞いて貰います。
「あー、これはもしかして」
と呟いたJAFの方。手早くジャッキを使って車を上げ、ホイールを外して中を確認。
「あ、やっぱり」
と呟いた後、何やら器具を使って、中をぐりぐり。すると、車から小指大ほどの小石が出て来たのでした。
「ブレーキパッドが付いているディスクがあって、そこに小石が挟まっていたみたいですね。一応小石避けが付いているんですが、それも抜けて来てしまうと、こうなる事もあるんです」
へえー……そうなんですか。そんな事もあるんですね。
「もっと大きな石だと、部品自体が傷付いてしまう事もあって。その場合は交換になってしまうんですが、今回は全然傷付いていなかったので、大丈夫ですよ」
なるほど。音を出しながら運転をしていたのは、やはり良くなかったと。良くないだろうなとは途中から気付いていましたが、やはり良くなかったという事だそうで。大反省です。
しかし、車が無事で何よりですよ。
ついでに、こんな事も聞いてみました。
「方法を調べて、自分でどうにかしても良いものですか?」
「いやー……ジャッキを上げ下げしたり、タイヤを外したりは、確かに教習所で習うと思いますが。例えば道の途中だったりした場合など、どこで作業するべきかという問題がありますし、危険が伴う場合もありますので。せっかくJAFに入って頂いているので、すぐに電話して頂くのが間違いないのではないかと」
とのことでした。私が車の構造に対して無知だったばかりに、こんな事にも対処が出来ないものかと思いましたが……やはりですね。素人が中途半端にやろうとするより、プロを呼んだ方が良い事もあるようで。
私は少しばかり、胸を撫で下ろしたのですが。
「えっ、お金かからないんですか?」
「部品の交換もありませんし、大丈夫です。有料駐車場だったので、駐車場代だけいただければ」
とのことで、特に特別なお金を支払う事もなく。JAFのお兄さんは手早く車を治し、去って行かれました。
という事で、無事に治った車なのですが。
やはりですね、私のように車に対しての知識が乏しく、しかも休日にのみ、車を走らせると。そのような方も、ドライバーとしては多いのではないかと思います。
そういった時に、このようなサービスが受けられるという事はですね。非常に心強いのではないでしょうか。
不安があるのであれば、JAFには入っておいた方が良い。
そのように、改めて思った次第でございます。
と同時にですね。やはり、自分自身で何も分からないのは少し、心細いと。このような体験を機会にですね、もう少し車について興味を持っても良いのでは。やはり、車もあれば運転するものですから。
その昔ですね、エレベーターに乗った時、その異音に気付いていち早く連絡し、部品の摩耗に気付いた知り合いも居たものですから。そのような一大事に素早くカンを働かせる事が出来るようになればですね。これ程心強い事はないと。
そのようにも、私は思い直しました。
そんな、見る人が見れば少々お叱りを頂いてしまいそうな、サンデードライバーの一面ではございましたが。
少なくともですね。中の詳しい構造はまだ、分からなかったとしても。
次からはまずいと思ったら、いち早く車を止めてですね。連絡をする事だけは、徹底しようと。やはり、心に決めたのでした。
事故に繋がらなくて良かったですね。
お後がよろしいようで。
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