小学館 (2013-03-05)
売り上げランキング: 6,949
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と、今回はですね、ビッグコミックスペリールから、『ドラゴン桜』で有名な三田紀房先生の作品です。
私はですね、密かにこの方の漫画作品について、いつかはちゃんと読んでみたいと。『ドラゴン桜』もそうですが、やはりじっくりと腰を据えて、いつかは読んでみたいなと。そのように考えながらですね、そのいつかとはいつだったのか。
きっと君は来ないと、一人きりでもないクリスマスイブに歌っていたのかもしれません。
まあ、歌ってないんですが。
と、つまり連載作品として長いので、金銭的な面から読むのを躊躇してしまっていたのですが。この度、こちらの漫画に触れられる機会がございまして。
その中身というものはやはり興味深く。創作活動自体はかなり後の方から始めたとの事ではありますが、私としてはですね、やはり面白いのだなあと、思わず唸ってしまう、といったところです。
ストーリーの優秀さ。
本作はですね、元ボクシングチャンピオンの花岡健という主人公が起業家になり、ビッグな夢を思い描く、といった内容になっております。序盤こそ精神論的な面が多く、「ふむ……」といった感想でしたが、読み進めるにつれて企業としての本質が明かされていくと言いますか、登場人物や複雑なビジネスマンの心情などが語られ、「ふむぅ!! ふむぅ!!」となり。やがては、「フムウゥゥゥ!! ムフウゥゥゥ!! YEAH!!」となってしまう、と。
落ち着けよ、と思わず言いたくなってしまいますが。
それ程にですね、やはりストーリーが秀逸なのではないか。普段多くの方が経験することはないであろう、『会社経営』という側面からですね。
ビジネスとは、ひいては人生とは何なのかといった本質的な部分にですね、これは見事なプレイヤーにダイレクトアタックではないかという。
立て!! 貴様はこんな所で終わるデュエリストではない!! と、どこからか聞こえてしまいそうだ、といった所で。
作中何度も危機に陥り、そして何度でも這い上がる花岡社長の姿は、まさにリーダーの風格。「良い商売の鉄則は、良いモノを作ることだ」と言い切り、真正面から立ち向かうスタイルの経営は、やはりボクシングで鍛えたそれであると。
そういった意味では、やはりこれは昭和の戦隊ヒーローが羨むレッドの姿ではないか。
一方で、金銭的な面では、やれる事は何でもやるといった気合の入り方。達成されれば何でもいい、仁義を貫こうが非道に徹しようが、とにかく目的を達成させるといった立ち居振る舞いは、今度は悪役のそれのよう。
思わず不安になってしまう社員達を横目に、時には人の心までも、自分にとって都合の良いように転がしてゆく、という。
むしろこの場合、都合が良ければ勇者でさえも利用するという、竜王の背格好にも似ているのでは。
この二面性のある人格がどこか癖になり、見事にハマってしまいます。
ポップな絵柄で語られる、社会のブラックな一面。
そしてですね、やはり語らなければならないと思うのは、この作品の意外なブラックさではないかと、私は考えているのですが。なんとなくですね、こういったビジネス漫画にはよくある話だと私は考えているのですが。ノウハウや形式ばかりを前に押し出した結果、どこか現実味の伴わないストーリーになる事は、よくある事だと思うのです。
ノウハウを重視するという事はそちらに寄ってしまうという事でもあり。このバランスが中々、難しいのではないか。
しかし、そこは『マネーの拳』。やはり、鮮やかな形で見事にこれを解決しています。
登場人物それぞれにドラマを持たせつつ、この可愛らしい絵柄の中で語られる社会問題の数々は、極めてエレガントなのではと感じさせる。
これをですね、カカオ90%と言うが如く、黒く黒く描くという事も、やはり可能だと思うのですね。しかし、この作品はそうしなかった。
あくまで、我々が勝負するべきはミルクチョコレートなのだと。それでいて、ホワイトチョコに進化してはいけないのだと。その絶妙な黒さと白さを調和してこそチョコレート。更には、手に乗せても溶けない安心感まで加わっている。
こうなると、むしろGalboなのではないか。
といった内容によって構成されていると、私は考えているのですが。
白黒一色にしないこだわりと、その手に残る安心感。Galboのような『マネーの拳』を、私は是非、おすすめさせて頂きたい。
え? ホワイトなGalboもあるって?
そんな事言ったら、白い恋人には『面白い恋人』という対抗商品があるじゃないですか。そこはですね、もはや許容範囲ですよ。
アウストラロピテクスとネアンデルタール人がどちらも人間の祖先だと言われる程度には許容範囲ではないか。
さて、このような作品を読んでいるとですね、他のビジネス漫画にも手を出したいな、と思わず考えてしまうのですが。
あまりこういった作品ばかりに寄り過ぎるとですね、今度は若者の作品が読めなくなってしまうと。そのような相反する問題は、依然として残っている。といったところで。
私としましてはですね、これはビジネスで少年漫画をやるような作品が世の中に出ても、ひょっとすると面白いのではないか。
そこまで考えて、実は若者とシニア、どちらにも中途半端でウケないという事実に辿り着きました。
やはり、今現在世の中にあるものというのはですね、何らかの必要性があって存在している、という事なのです。無理に奇をてらうという事は、同時にその必要性を薄れさせるといった問題が生じてしまう可能性が、グレートに高まるのではないか。
面白いと思える作品が、これからもっと増えていけば嬉しいですね。
お後がよろしいようで。
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