とある事情で、札幌まで出張しなければならなくなりました。
その日は札幌駅で人と待ち合わせをしていたのですが、唐突に電話が。どうも、まだ少し時間がかかるとのこと。
ふと、一時間程の空き時間ができてしまったのです。
さて、これはどうしたものか。ホテルのチェックアウト時間を過ぎた後の待ち合わせだったもので、大荷物を持って外に出なければならないと。
突然の暇です。しかしながら、観光などですね、土産物を見て回るにはあまりにも時間が足りない。
やっぱり、こんな時は喫茶店でしょう。……とは言っても、待ち人は居るのです。こんな時は、札幌駅に近い場所で、美味しいコーヒーでも飲んでいたいものですね。
ということで、今回は宮越屋珈琲 札幌駅パセオ店に訪れました。
こちらはですね、札幌駅の中にあるのですよ。
実は私、東京にも支店があるという事は知りつつも、じっくりと宮越屋珈琲さんのコーヒーを味わう機会など無かったもので……これは非常に、丁度いいのではないでしょうか。
少しわくわくしながら、私はお店の扉を開いたのでした。
宮越屋珈琲さんのブレンドコーヒー。
店内へと入ると、なんだか少しお洒落な雰囲気で、やや緊張してしまいます。私なんかがトランクを転がして入っても良いものでしょうか……?
そうは思いながらも、中に入ってメニューを見る私。店員さん、とても親切です。
早速目に飛び込んできたのは……ケーキ。
……でも、朝なのですよね。ケーキは少し重いでしょうか。この後は人と待ち合わせをしているので、そこで何か食べるかもしれません。
よし、決めました。ここは、ブレンドコーヒーでいきましょう。
「すいません、ブレンドください」
それにしても、コーヒー専門店だけあって、様々な種類のコーヒーがありますね……!
これは、期待に胸も膨らむというものですよ。
暫く待っていると、程なくしてブレンドコーヒーが到着いたしました。
おお……とても、香りが強いです。
それでは、一口……。
おお、これは濃い……!
一口含むと、コーヒーの強い香りが鼻に抜けます。見た目からある程度予想はできていたのですが、それにしても深い。
味も苦すぎず酸っぱすぎず、絶妙な感じ。
目を閉じて、暫しその余韻に浸る私。
こ、これは……。幸せだなあ……。
長いこと、薄めのコーヒーを好んで飲んでいたものですから、少し新鮮ですね。若い頃にとても好きだった、飲み口のとてもしっかりしたお味です。
この濃さが少し苦手な方、飲み口のあっさりとしたアメリカーノ位の濃さが好きな方には、少しばかり重みを感じるかもしれません。いやーでも、この深さでも口当たりは良く、苦味にやられません。
朝だけに、とても目が覚めますね……!
はっきりした風味のコーヒーであり、主張が強いながらも、決して露出し過ぎる訳ではない、このバランス。
学生時代、クラスに一人くらい、隠れ美人が居ましたよね。あんな雰囲気ではないでしょうか。
落ち着いた空間。談笑できる価値。
しかし、この空間は落ち着きますね。札幌駅といえば騒がしいイメージが強いですが、扉をくぐると別世界のよう。やはり喫茶店といえば、ほどよく落ち着いた空間。私はそこに、深い価値を感じるものです。
そういった観点から申し上げますと、ここは駅前という立地でありながら、うまく落ち着きを保っている。これは珍しいのではないでしょうか。
沢山の人が入りますから、あちらこちらで、そこそこ大きな声の会話も繰り広げられているような状況です。でも、あまり気分を害されない。
……そうか。場所の、絶妙な広さ。座席のスペースが程よく空いているために、大きな声で会話をしていても、そこまで邪魔されないのですね。
ふと、喫茶店の中を見回してみると……よく見てみれば、周囲を気にせず歩くことができるだけの間隔が空いている。
なるほど。これは重要ですね。喫茶店によっては、人数が意識されて机の間隔が非常に狭い事がございます。
これだけ広く開けているが故の、この落ち着き。そして、このコーヒー。
うーん……美味しい。
一人で落ち着いて、コーヒーが飲める。二人で入って、談笑ができる。
やはり、喫茶店とはこうあるべきではないでしょうか。
喫茶店でジャズを聴きながら書く小説には、また独特のリズムが生まれますね。久しぶりに、とても集中できる空間に出会うことができました。
……おっと、そんな事を考えていたものですが、約束の一時間が近づいて参りました。
そろそろ、私も喫茶店を後にするとしましょうか。
ふとした空き時間を使ってコーヒーブレイクを楽しむというのも、やはり趣味のひとつとしては、悪くないですよね。
北海道といえば、やっぱり観光。どんどん歩いて楽しみたい、という方もいらっしゃると思いますが。
このような場所もあるよという事でひとつ、知識のひとつに加えて頂ければなと。ふとした時に立ち寄ると、旅の疲れが癒やされるかもしれませんよ。
しかし、隣には土産物売り場。札幌に行くたび、目に付いていた喫茶店ではあったのですが。実に、4回目の出会いから入店へと至った、というところで。
目に付く所ほど風景になってしまい、気が付かないということも、世の中には沢山あるのですね。
次はケーキを食べてみましょう!
お後がよろしいようで。
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