宙出版 (2017-03-01)
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ところで先日、サメマチオ先生の『マチキネマ』という漫画を読ませて頂いたのですが。
私はですね、これは結構好きだな、と思いまして。
あれですね、昨今少し候補から遠のいていた、『リアル系』の漫画としては、これはとても信頼されるべき作品なのではないか。
ほにゃらら喫茶店のコーヒーがうまくてどうのこうのとか、大きく言ってしまえばそのように日常的な内容ではあるのですが、これが上手い具合に溶け合い、ひとつのハーモニーを奏でている。
日常+日常。
そう、これはやはり漫画作品で言う所の『ハニートースト』のようなものではないか。
どういう意味ですかそれは。
『マチキネマ』に描かれる『ちっぽけな人物像』。
リアル系の作品によく描かれる感情かもしれないとは思いますが、この『マチキネマ』もですね、とてもそう。人間関係において描かれるべきわびと言いますか、さびと言いますか、まあ合体させて、ここはわびさb……わさびで良いでしょう。それらの要素がですね、非常によく描かれている。
これは、わさび的漫画作品とも言えるのではないか。
作者様がその辺りを意識して描かれているのかという事は、残念ながら私の拙い感性では追い掛けきれない所ではあるかなとも思いましたが。やはりですね、そこに表現されているのは、これは『ちっぽけな人間像』ではないか、と私には思えます。
人間が生きる上で、いかに小さく、取るに足らない事で悩んでいるのか。一方ではそのような側面を持ちながら、人間というものはですね、本当はいつも、もっと壮大で、大きな人間でありたいと想っていると。でも、現実はやはりこの世界の『一部』でしか無いんだなあ、というジレンマであるとか。
そのようなコンプレックス。本当はこうしたかった、ああしたかった。でも、現実との狭間では出来ない事もあって。それが、大きな意味で『人物像』というものを表現していく。
そのような部分において、この『マチキネマ』はですね、天才的な出来ではないかと感じるのです。
あまりですね、こういった感情がメインテーマとして扱われる事は、漫画作品としては少ないのではないかと私は考えているですが。
勿論表現されていないかと言えば、それは様々な作品に登場するとは思うのです。
しかしそればかりだと、どこか暗くなってしまうと言いますか、物悲しい。
そう、わさびだけだと辛いじゃないですか。ネタが何か欲しいですよね。
しかしですね。この作品はわさびの美味しさを追求した、宛らわさび巻のようなアレなのではないか。
そこで、やはりわさび巻はわさび巻でもですね、やはりわさび巻ならではの風格と言いますか、そのようなモノがあるのではないかと。遂には、私はそのように考えるようになったという訳なのですが。
冒頭の、なんだか泣いてしまった。の件。
ざっくばらんに言うとですね、そのように日常のどこにでもある、当たり前ではあるけれど、よく考えると少し儚いものたちを中心に描かれる、この作品の魅力はですね。やはり、羽海野チカ先生のそれにも少し通じるのではないかとも思えるのですが。何と言ってもですね、そう、やはり人間臭さと言いますか。その点に魅力があるのではないか。
あまり人間らしい人間が語られない作品も多い昨今、このように半分エッセイのような語りを交えた手法はですね、非常に美しい。
どの位美しいのかと言うと、これは巷で話題のラテアートのようにですね。飲んでしまえばそれで終わりではあるのだけれども、やはりそれを見た瞬間に人々の心を癒やす、と。そのような、奇妙な力があるのではとも思えます。
私はですね、このような作品に触れていると、やはり、なんだか心を動かされてしまうのですよね。
人の努力や意識、目標と挫折のようなテーマはですね、人々のとても深い所にあって、いつも私達の行動原理となっているのではないか、と思うものです。それこそが、未来を生きるためには必ず必要なものであり。そして、それは色々な結末を迎えるのではないか。
達成と挫折。そのどちらも、やはり人間にはあるのではないかと。
それだけにですね、この『マチキネマ』は一読して後悔のない作品ではないか、と私は考えているのです。
私もこのようにですね、心の内側をありったけ晒してしまうような、情緒のある作品を描けるようになりたいと思うものです。
しかしですね、やはり漫画作品は笑ってナンボ、娯楽であると考える方もいらっしゃると思いますので、その場合は如何でしょうか、とは考えないこともないのですが。
何しろ、若干詩集のような側面を併せ持っていないとも、これは言い切れないという訳なのです。
私としてはですね、漫画作品そのものには様々な形があって良いのではないか、と考えるタイプですので、こちらの作品を推奨させて頂きたい所存ではあると。
漫画作品もいろいろですね。
お後がよろしいようで。
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