ふと見れば残業時間について言及される事も多いと感じる昨今、いかがお過ごしでしょうか。
私は今でこそ会社の仕事も落ち着き、ある程度私が無理をしなくても会社が回るようになってきたなあと感じているのですが、やっぱり月100時間残業をした事はありましたよ、ええ。
月100時間残業と言えば少し柔らかくなりますが、月の労働日数って、大体20日前後なのですよね。1日に8時間労働する決まりがある訳ですから、月の労働時間は160時間くらいが相場になると思いますが。
私の場合もやはり、月の労働時間で言うと、300時間を超えて労働した事がございます。
もはや、これは普通になってしまっているのかもしれませんね。
個人的にはですね、今は退社してしまった会社の先輩が、残業時間について話し合っていた時に聞いた言葉が……もう10年近く前の話になるのですが、今でも忘れられません。
「労働時間200は、まだ大丈夫だよね~」
「えっ、200? ……300でしょ?」
当然のように、そう語る某先輩。
いやいやいや。確かに、残業せざるを得ない時もあるでしょう。労働時間がどうしても多くなってしまう事もあるでしょう。しかしですね、それは笑いながら言うような事ではないと思うのですよね。
笑うしかなかったのかもしれませんが……。
自分の職場環境と言いますか、やはりそういったものをですね、少しばかり、見直さなければならないのではないか。
いえ、お身体を壊す前に是非、改善して頂きたい。……おや? 自分ではどうしようもない場合があると思いますので、この場合、改善されて頂きたい? 改善されて……?
……まあ良いでしょう。(よくない)
ブラック企業などという言葉が流行る時代ではありますが、チョコレートで言うなら高濃度のカカオ配合チョコレートはですね、むしろ普通のミルクチョコレートよりも健康効果が期待できる、という事がありまして。
ブラックであるからに健康。やはりブラック企業もですね、これからは言葉の意味を変えて、『ブラック企業=健康!!』となっていく必要があるのではないか。
いや、それは無理だ。
えっ? 3人でこの仕事をやるんですか?
お話は今より何年も前。まだ会社に人も居なかった時代、私も仕事に慣れて来ると、やはり任命される事がありまして。そう、管理系の仕事でございます。
とは言っても、総社員数が10名にも満たないような会社で『管理』と言ってもですね、管理する人がいない。不思議な話ではありますが、この場合は人を管理する訳ではなく、プロジェクトを管理する、という意味で管理職なのではないか。
実際には当時、管理職の肩書きは頂いておりませんでしたが。
伸び盛りの会社です。と言えば聞こえは良いですが、実際は赤字を抱えて疾走しているだけなのですよね。……という訳で、飛び込んで来た仕事は何でもこなしましょう、といった基本スタンスでですね。私も技術営業として、人様の会社で何度も打ち合わせをしておりました。
すると、東京都の某でっかいビルに拠点なんて構えてしまうような大きな会社からですね、ある時お声が掛かるんですよね。勿論その場所には社長自ら打ち合わせに行き。その仕事が、ある日私の所にやって来る、と。
私は言いました。
「えっ? 3人でこの仕事をやるんですか?」
すると、社長は当然と言ったような顔をして言うのです。
「できるだろ、それくらい。大した量ねえよ」
「いやいやいやいy……えっ、いくらで受けて来たんですか、この仕事」
金額を提示されて、目玉が飛び出るかと思った私。
えっ、この金額で? この仕事量を? ……やるのか? 2ヶ月で?
思考は明後日の方向へ。全力でタイムスケジュールの調整に入ります。会社の商品について、技術の部分で詳しく把握している人間は当時、私を除くと1名しか居なかったのですよね。今もそうなのですが。……いや、多分これからずっとそうでしょうけども。
いやはや、当然のように2ヶ月では間に合う気配すらありません。何しろ、不明確な部分が多すぎます。打ち合わせでそこは話されたのか。
「例えば、これとこれ……詳しい資料が無いと思うんですけど、どうなってるんですか?」
「先方に直接聞いて」
アーハン?
まあ、当時はまだそんなに長い付き合いでは無かった訳ですが、性格的にですね。分かっていたような気がいたします。そもそもメモが全く取られていない時点で、勝敗は明らかに付いていた。幕之内一歩がデンプシーロールを放つ手前であることが、お分かり頂けるのではないか。
これは、質問一覧表なるものを作ってですね、先方と確認を取らせて頂く以外に方法がありません。すると、これがやはり東京都の大きなビルに拠点を構えてしまうような会社の社員という事であれば、一筋縄で行く筈もございません。
「その話、打ち合わせで話しましたけど!?(怒)」
「すいませんすいません本当にすいません」
全力で謝る様子たるや、まさに狼に狙われた羊。もはや私には、先方の担当者の女性がリトル・マーメイドのアースラにしか見えません。
すいません。多分、アースラの方がもっとかわいい。リトル・マーメイド好きなので、この例えは無かった事にさせてください。
「すいません。頂いたこの資料とこの資料、こことここが矛盾しているんですが……」
「全部資料に書いてありますから!! ちゃんと読んでください!!」
えっ。
ちょ、ちょっと待ってくださいよ。私は資料に矛盾があるというお話をさせて頂いているのに、資料に書いてあるって……中身も見ないでその返答はちょっと、あんまりではないでしょうか。
その時の私はですね、震えましたね。多分、初めて映画『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を見た時よりも震えました。
あれっ。二社間の構図はまさに、神と下僕ではないかと思っていた私ではありますが。なんだか、先方の担当者も様子がおかしい……。
大丈夫なんでしょうか。
とにかく、どうにかしなければ。
注文まで頂いてしまった仕事をこなさない訳にはまいりません。私はどうにか達成までのスケジュールを立てて、全力で仕事に当たる他ありませんでした。とにかく、協力して頂ける方には誰にでも協力して頂く他無い、と。しかし、そもそも人の居ないこの会社で、この仕事に当たることの出来る人間など限られております。
社員の技術力と言えばですね、実際に人が利用するアプリケーションの開発ができる人間が二人。システムの根本に関わる開発は私がやらなければならない訳ですから、これは仕方がありません。
だって、システムの根本を開発できる人間は二人しか居ない訳ですから……。勿論もう一人の方は、この仕事に当たっている余裕がない状況。
逆境ナインですか。男球も投げますよ、私。
たかが100点差……!! 形の上でだって勝ちます!!
そのような意志でですね、私も挑んだ訳でございますが。当然ですね、やはりと言いますか、最初から無理な仕事はですね。これは、どう足掻いた所で無理は無理になる可能性もある、といったところで。
当然、私達のプロジェクトは難航を極めました。
しかも、先方からの開発依頼であると言うのに、全く提示されない開発資料。どこかにはあるのだと思いますが、如何せん担当の方が「全部資料に書いてあります!!」の一点張りで、まるで話が先に進まないのです。だから、その資料に書いてないんだってば。
これでは、どうにか想像して進めて行くしかない。
逆境の力を借りるまでもない。このままでは没落確定です。
私は毎日深夜まで残業せざるを得ませんでした。何しろ、開発できる人間が少な過ぎるのです。別に打ち合わせをして来た社長が手伝ってくれる訳でも無いですから、これは仕方がありません。
そこで、更なる逆境が私を待ち受けておりました。
納品まで残り一ヵ月といったところで、メンバーの書いたプログラムが、まるでまともに動かないと言うのです。とある別のメンバーからそのように言われ、私が見た所、確かにこれはバグっている。
何故……? そんなに難しい仕様でもないのに。と思い、私はソースコードを確認させて頂きました。
「なんだ、このスパゲッティコードは……!!」
そこには、大親友の彼女のツレがいらっしゃいました。
当時、とある部分の開発を任せていた開発者の方がですね。これは昔から力技でコードを書く方だったので、ある程度は想定していたのです。想定していた訳ですから、私は対策しない訳には行きませんでした。
可能な限り分かりやすい設計書を作り、どのボタンがどういった動作をするかまで記述し。やはり商品もですね、設計書なるものは殆ど存在していない時期だったのです。これはやはり、私が書くしか無い。丁度良い、先方に提示するついでに作ってしまえと。
ところが、それを作って提供し、「なるほど分かった」となった後で、この状況。
「なんだ、このスパゲッティコードは……!!」
そこには、大親友の彼女のツレがいらっしゃいました。
もう、指示している時間がない。指示してやって貰うよりも、自分でやった方が速い。私はそう結論せざるを得なくなり、自分で開発を進めました。
一人でスケジュールし、一人で開発する。
ひとりでできるもん!
……ごめんなさい、できません。
月100時間残業。
当然2ヶ月などで終わる筈もなく……そうですね。4ヶ月くらいは伸びたのではないでしょうか。倍ですね。ぷよぷよで言うと『ファイヤー』位の立ち位置なので、まだまだ序盤ではないでしょうか。開発費用が変わる筈も無かったのですが、どうにか期間だけは延ばして頂き。まあ先方の都合も多々ありまして、最終的にはそのようなスケジュールで落ち着くことに。
当然、夜は23時以降まで働き、休日も殆ど全出で作業に当たっていたのですが。これだけ仕事をするとですね、目に見えて自分にも変化が起きているという事に気付きます。
- 怒りっぽくなる。
- 自分でも何を話しているのか分からなくなる。
- 行き帰りの電車は睡眠時間。
- 未来に希望が持てなくなる。
- 鬱っぽくなる。
それ以降のプロジェクトはですね、これはもう見積もりからやらせて下さいと、私は自ら打って出てですね。改良を重ね、今ではそれなりに妥当なスケジュールと見積もりでお仕事をやらせて頂いております。
金額って大事ですね。必要以上に安く請け負うと、後が大変なんですよね。
いやあしかし、あれは酷かった。根性論と言ってもですね、少しばかり無理があったのではないか。
常日頃からこのような想いをされている労働者の方にはですね、これは合掌を禁じ得ない、といった所で。
どうか、皆様の残業時間が一時間でも短くなりますようにっ……!!
ところでですね。この地獄の開発が終わった後、数ヶ月程した後にですね。私は、このような事を言われまして。誰にとは言いませんが、言われまして。
「なんでこんなに残業してんの?」
「えっ……そりゃ、○○の開発があったからですけど……」
「残業代出さないよ? 別に出しても良いけど、ボーナス減らすけど」
「ちょ、おま……!!」
喉元過ぎれば熱さを忘れるって本当ですね。
お後がよろしいようで。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
0 件のコメント :
コメントを投稿