浮遊する無名作家の浅慮

『そこをなんとか』が面白いので、改めてレビューする。【漫画レビュー】

そこをなんとか 1 (花とゆめコミックス)
白泉社 (2013-07-17)
売り上げランキング: 9,868


この漫画、ご存知の方も多いとは思っているのですが、私としてはイチオシを通り越してイチヨシ、ひいては一日一善になるという事を、身を以て体感しており。

一体何を体感したんだと言われれば正直よく分からないというのが素直な所なのですが、麻生みこと先生の『そこをなんとか』には、そう言わせてしまうだけの魅力があると思ったものでございます。

さて、これがどのような漫画であるのかといった事を、あまり把握していない方も多いのではないか。

私はついそう思ったものですから、これは地方の隅に隠された名店。三ツ星シェフもびっくりと思わせる位の超高級『畳』のような、味わい深さがあるのではないかと。そうだとすれば、これは説明しない訳にはいきますまい。

猫も杓子も、とにかくはこの漫画が一体何であるのかという、そこからお話させて頂ければと思う所です。



 『そこをなんとか』は、弁護士の漫画です。

さて、タイトルの『そこをなんとか』と聞かれると、これは思わず営業マンの漫画ではないかと思う所があるかもしれませんが、これは弁護士が主人公の漫画でございます。

なんと、キャバ嬢上がりの弁護士という主人公が、その軽いトークとノリで、時にはコメディに、時にはシリアスに問題を解決していく、といった事がテーマではないかと。実はそうなのではないかと、私は考えているのですが。

この主人公が、話のたびに「そこをなんとか!」と言って押し通そうとする事から、このタイトルが付けられたのではないかと、私は勝手に考えており。

やはりこれは、営業を掛けに行く営業マンそのものではないか。医師と弁護士には誰もが高給のイメージを付き纏わせますが、むしろこの漫画に付き纏っているのは哀愁漂う社会人のそれではないかと。

いえ、それはそれでやはり、味があるのでは。

そのように若干くたびれたイメージがありつつも、しかし実際は元気な主人公のお陰で陰気になる事もなく、シリアスでヘビーな事件の割には少し楽観的な感情を引っさげて、物語は進行して行くのです。

すごくないですかこれ。

おっと、素が出てしまいました。

サスペンスやミステリーと言えば、基本的には事件が起きると悲しい感情を前面に押し出したくなるものです。しかし、この漫画はそのように難しい題材を扱いつつも、決して暗くなりすぎる事がない。

これはすごい。

これは、すごいのではないか(大切な事なので以下略)。



 話が進むごとに強化されてゆく構成力。

そして、更に凄いと思わせるのはですね、これは話が進むごとに、巻数を積んでいくごとに、どんどんと物語が面白くなって行くのです。

若干オムニバスストーリーっぽさを漂わせつつも、本筋の物語は面白く進行していきますし、その中で起きる事件とその解決、登場人物の人間らしさも、オムニバスとしてそれぞれ、完成度が高まっていく。

特に、最近の巻はもう面白すぎて、「すげー!! この作者すげえぇぇ!!」という感じです。

おっと、素が。

色々な漫画を読むようになり、その中でやはり面白いと感じさせるお話ともそれなりに出会う事ができているなあと思うのですが、正直これは群を抜いている。抜き過ぎているのではないか。

少なくとも私は、すっかりこの漫画のファンになってしまいました。

そして、登場人物の味わい深さもまた、よく分かっていらっしゃる。そうなのですよね。どれだけお話が綺麗で美しかったとしても、その語り部に魅力がなくては、やはりこれは面白くない。

それがこの物語は、どのキャラクターにおいてもですね、一人一人に確たる魅力があり。物語に不要な登場人物というものはですね、登場していないのではないか。

そのように細部まで、しっかりと作り込んであるのでは、と私は感じます。

私は正直、これだけの完成度を伴う作品にですね、今まで出会ったことがないのではないか、とまで思っているのですが。

やはり感じ方は人それぞれだと思いますので、ここはそこまで強くオススメする事はできません。買って後悔したという話も聞きたくありませんので、ここはやはり、誇張表現をせずに紹介できればいいなと思っております。

やはりですね。

控えめに言って、最高超えているのではないか。

……あれ。








弁護士が主人公の漫画というものは、実を言うとあまり読んだことがなく。しかし、これだけ作り込まれたお話なのであれば、他の作品というものも探して読めれば良いな、とは思っているのですが。

ただひとつ、問題点なるものもございまして。

法律のお話は難しく、時々何を言っているのか分からない。

どうやら、作品のクオリティに私の方が追い付いていない様子でした。

お後がよろしいようで。



そこをなんとか 1 (花とゆめコミックス)
白泉社 (2013-07-17)
売り上げランキング: 9,868

スポンサーリンク
スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿