浮遊する無名作家の浅慮

世界の片隅で、『お仕事募集中です』と叫ぶ。

世界の片隅で、『お仕事募集中です』と叫ぶ。


あ、あの……し、小説の……小説のお仕事……募集中……です……。

さて、そのような事も考える昨今。まずですね、今いる自分の立場というものが分かっていない。まあ想像してみてくださいよ、入社したばかりの新人がベテラン上司に向かってですね、「いえ、違います。ここは……まじんぎりではないですかね?」などといちゃもんを付けている姿を。

ベテラン上司も怒ってベギラマ撃ってくるかもしれませんよ。

勉強してきた日数の割にですね、作品のレベルが上がっていないのではないか。あなたドラクエ2の最初の町でスライム何匹倒して来たんですかと思わず言われてしまいそうな程にですね、これはプレイ時間の割に、サマルトリアの王子すら仲間にできていないのでは。

むしろ、私の最強装備がてつのやりだったのではないか。

20年間物語の事だけを考えて生きて来て、この体たらく。やはりですね、そろそろ現実を直視した方が良いのではないかと。いい加減に見てみよう、と思いまして。

しかしですね、この状況でいざ振り返ることは、もう恐怖でしかないのですね。掛けて来た年月。費やして来た青春。元より青い春などというものが私にあったのかと言われれば、「マーブルチョコの味」のように甘酸っぱい出来事など皆無だった訳ですが、これが痛い。

会社の面接で『趣味は鶏の頭蓋骨を愛でることです!』と言われる位には痛い。『私の特技は、特技がないことです!』とか。むしろそんな人いたら私が採用します。

役に立つ情報をと思って気取った記事ばかり書いていた2016年と打って変わって、2017年はただでさえ見え隠れしていた、ぶっちゃけ大した人間ではない、という事実が、少々大袈裟に露呈する程にはぶっちゃけすぎではないかとも思えますが。

私はですね、肩の力を抜く事にいたしました。

このようなインターネットの端の端、言うなれば自動掃除ロボット『ルンバ』でも吸えない部屋の角に溜まった埃のような場所で気取った所でですね、これはまだ『リンダリンダ』を歌った方が人に理解されるというものです。

あ、ルンバは丸いから吸い難いだろうなと思っただけで、きっと本物のルンバは隅も掃除してくれるとは思いますが。これは私が持っていないので分からない、といったところで。

……と、今回はそのようなお話。



 無名作家、言葉を失う。

実を言うと今年に入ってですね、私は若干鬱の疑いがあるようでして。……あるんですか? いいえ、本人には分かりませんが。

とにかく、唐突に持ち前のややうるさい位のマシンガントークが一切封じられてしまったのではないか、という説が浮上。

その後ですね、封じられすぎてやばいのではないか。どの位のレベルかと言うと、こだわりスカーフ巻いたポケモンが交換したのに同じ技しか出せてない位にはこだわっている。

しかも覚えているのは『ねこだまし』のみ。あなたね、それもはや悪あがき専用機ですから。まだ『はねる』の方がコイキングらしくて良いのでは。

まだ会社に行けなくなる程ではないのですが、会社に行くと人と会話するのがどうしても億劫になってしまうというか、これは言葉が出て来ない出て来ない。白紙の自由帳ではないかと思える程に出て来ないのです。

むしろ、この余白を使って絵のスキルを上げるべきではないか。

最近友人とお茶をする事になってもですね、私があまりに何も喋る事ができないもので。以前はお前は一体なんだという程に喋りまくっていた私が、今や椅子に座ったモアイではないか。

大陸を見る事しかできないのではないかと思える程にモアイ。

という現実が今、私を襲っております。

……襲っているんですか?

どうなんでしょう。


 差し迫る、『お前は無名作家として成立するのか』という現実。

まず第一にですね、そろそろ未来を考えなければならないのではないか。

具体的には、私は小説なんて書いている場合ではなくて、次の仕事を見付けるための努力というものをですね、しなければならないのではないかと。

まずですね、切実な話としてお金がない。

今の状態で大丈夫だと言うならそれもありですが、無理をして車など購入したせいで、車のローンが払えない。

そして、車があることを前提にして家を借りてしまったせいで、車がないと買い物にも行けない。そんなジレンマ。

気付きませんでした。結婚二人暮らしという家庭に、こんなにもお金がかかるなんて。私は一人暮らしの感度で計算してしまっていたのです。

やはり、最も有効な策は車を売って引っ越しではないか。

これは愚かにも起きてしまった、捕らぬ狸の皮算用。例えるならば、友人が車で送ってくれるからと所定の駅まで片道向かったは良いけれど、友人が『ごめーん、これから彼女とシーメーだから~』と言って迎えに来ない上、帰りの電車賃がない。そのような状況ではないか。

一人、寂しい財布を広げてみると、そこには一枚の運転免許証が。

一生懸命に取った運転免許証には、『AT専用』と書いてあるかと思いきや、『ATM専用』と書いてあるのでした。

誰だ俺の金取った奴!

あ、ここまでフィクションです。

と、こうではないかと。

そしてですね、冒頭でも思わず書いてしまいましたが、作品のクオリティが上がっていない。ひとつひとつ丁寧に書いているつもりではあるのですが、やはり妥協している部分が目立つのではないか。

そのせいで、やはり私の文章業というものは、これは仕事にならないのではないかと。

そう思った私ではあるのですが。

よく考えてみれば、プロットを作成している最中にひとたび詰まるとですね、これは『えーい、ここは飛ばして次に行っちゃえ!』となってしまい、戻って来た時にはどこが問題だったのか忘れている。

歩けば忘れる鳥頭。犬も歩けば棒に当たるとは言いますが、棒に当たった事さえ忘れてしまえば、それは事実確認が出来ないので無効なのです。

一周回って、これは新時代の詐欺手法ではないか。




 それでも、支持してくれる人がいたので。

という事でですね、このように下らない文章など書いている暇があったら、少しでもクオリティを上げる努力をしなさいよ、と思ったあなたは正解です。

しかしですね、やはり創作活動というものを続けていると、このような私にも支持してくれる方というものは、現れるもので。

とある小説好きのお兄さんにですね、「これはもう商業として通用するレベルではないか」と言われれば、嬉しくなってコサックダンスを踊り、小指を柱にぶつけ。

とある出版社の編集さんにですね、「もし自分が文芸やってたら紹介する所なんだけど」と言われれば、嬉しくなって飛び膝蹴りを放ち、小指を柱にぶつけ。

誰かに「先生!」などと呼ばれようものなら、もうこれは自ら小指を柱にぶつけに行くレベル。

むしろ小指をぶつける事こそが本業ではないか。

ごめんなさい。それは嫌なので許してください。

そのようにですね、少し褒められると有頂天になってしまう私は、一度船を漕ぎ出すとですね、目的地に到達するまでは止まれない、といった悪い癖があるようで。

引き返す、という事を知らないのですね。動き出したら前しか見ていない私は、一体その間にどれ程危険な場所へと向かっているのかが理解できていない傾向にあるのではないか。

やはり、これは我を通すという意味での、真なる特攻隊。大丈夫です、もし特攻に失敗しても、魔法カード死者蘇生はありませんから。あれ禁止カードになったりしてますから。

遊戯がパンドラと戦った時に、お互いのブラック・マジシャンを死者蘇生している構図が目に浮かぶ日も近いのではないか。

あ、ブラック・マジシャン・ガールは狙いすぎだと思います。

だがそれがいい。


 無名作家、上司に文章について怒られる。

そんな私ですが、最近上司の方にですね、障害報告書の書き方について怒られた事がございまして。

ええ、お客様のシステムに障害が発生してしまい、システム運用が止まってしまった事に対する障害報告書だったのですが。内容が難しい事はある程度仕方がないとして、私もこのような文章力の中、一生懸命に書いた文章ではあったのです。

いえ、文章の事で指摘されるのは、本来ならばありがたい事ではあるのです。しかし、その上司の方といえば、これは驚く程メールの誤字が多い事で有名な、某上司だという事がありまして。

「ここは主語が○○だから、『○○に』は使えない。『○○は』だろ」

「えっ、あの、それだと文章がおかしくなってしまうんですが……『○○は問題があった』とは書けないのではないかと……」

「後、日付は漢数字で書きなさい」

「いえ、それはこの間お客様のご指摘で、アラビア数字と漢数字が混ざっていると読みにくいという話が……」

「良いから。とにかく、障害報告書はこう書いて。お前何年目だよ」

「……すいませんでした……」

消え入りそうな声で、上司に謝罪する私でしたが。もはやこれは、何を言っても聞いて貰えないのです。文章の良し悪しはともかく、彼に報告書を任せて、私はさっさと仕事をした方が得策なのではと思っていたところ。

その後ですね、お客様の方から、今度は私あてに電話が届きまして。

「あのくらげさん、○○の件の報告書、ちょっと文章がおかしくて読めないので、修正して頂きたいのですが」

「えっ……」

その時、私の背後に雷が落ちたような気がいたしました。

ピカチュウどこですか。ちょっとポケモンGO起動するので待ってください。

そうなのです。その上司、私の障害報告書をほぼ丸ごと彼の文体で書き直した挙句、私の名前を書いて提出しやがっ……したのでした。

いやね、あれだけ自信満々に書き上げた報告書、私の名前で出さないでくださいよ。調査したのは確かに私ですけど、もうそれ私の報告書じゃないですから。例えるならば、市役所に行って住民票を取り出した所、いつの間にか自分の扶養家族に『アフロ』って書いてあった時のような気持ちなんですよ。

むしろ、アフロが扶養家族に入っていた方がまだマシではないか。

「こんなんじゃ上に提出できませんよ」

「ご、ごめんなさい。本当に申し訳ございません……」

上司に怒られ、客先に怒られ。……私が書いた文章ではないのですが。

もはや、私を抜きにして戦って頂いた方が話が早いのでは。きっとゴジラvsメカゴジラもびっくりの、夢の頂上決戦が繰り広げられる事でしょう。

…………へへっ。

こんな私ですが、お仕事募集中です。

お後がよろしいようで。


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