浮遊する無名作家の浅慮

非難をせず、批判を受け入れて貰う事の難しさ。

非難をせず、批判を受け入れて貰う事の難しさ。

さて、未だに私がコミュニケーション上で最も難しいなあ、と感じてしまう内容として、ここはひとつ、『非難と批判の違い』という題材を挙げさせて頂きたい。

老若男女問わず、最も難しいのが『指摘』だと私は考えているのですが。気を使わないとですね、これは人間関係やその他もろもろを壊してしまう事にも繋がりかねない、といったところで。

今回はですね、相手の良くない部分を指摘しなければならない時に、一体どのようにすれば気分を害する事なく相手に伝えられるのか、といった事を考えて行ければなと。

すなわち、相手を『非難』したい訳ではないが、『批判』しなければならない時の手法について。



 非難・批判とは何か。

さて、そもそも『非難と批判の違いは何か』というお話があると思いますので、やはりですね、ざっくりとでもまとめておく必要があるのではないか。

・批判
本来の意味は、『物事の判定・評価をすること』『人の言動などの過ちを指摘し、正すべきものとして論じること』のようで。

私はですね、よく批判は良くない事として扱われる事が多いのではないかと感じているのですが、実際に意味を調べてみると、これは至極まっとうなお話でして。

『○○は××だから、△△になるのはおかしいよね。変だよね』という意味なのですね。

つまり、相手の行動や考えについて変だと指摘する事が批判であって、相手そのものを責めている訳ではないと。

ここが、大切なポイントではないかと思うのですが。

・非難
こちらは真逆で、『人の欠点や過失を責める』というのがですね、本来の意味となります。

相手は間違っている! 相手はおかしい! と、声を大にして……声を大にする所までは必要無いかもしれませんが、相手そのものを責める、という行為であると。

つまり、『あなたは間違っている。あなたは悪いから、それ相応に罰せられるべきだ』という意味を含むとも、言い換える事ができるのではないか。

罰する所までは行かないかもしれませんが、つまりは何らかの罪を犯していると伝えたい。個人への攻撃を含む、という意味です。

……と、細部は違う部分があるかもしれませんが、大体このような意味だと捉えていて間違いはないでしょう、といったところで。


詳しい説明はですね、これは辞書などを引いた方がより分かりやすく、これは意味そのものを扱った記事ではございませんので、このように簡単に、表現させて頂きました。

なにはさておき、ここでは『批判』『非難』をこのような内容であると想定し、お話を進めたいと思います。



 『非難』? 『批判』? どっち?

さて、ざっくりとした内容がここで語られたところでですね。これらを多くの場合、『同一のものである』または『よりネガティブな内容として』認識されてしまう事が、世の中には非常に多くあるのではないか。

それは、ともすれば非常に悲しい事にもなり兼ねないと、私は考えているのですが。

例えばですね、自分が何か、相手から物事を指摘されたとしてですね。

この『批判』と『非難』は、複雑に折り重なって自分の所に来るというのが、これは非常に多いと思うものです。

「お前は○○だ!! 間違っている!! おかしいだろ、なあ!!」

このような言い方をされてしまうと、これは『批判』と『非難』の区別が付かず。ともすれば、自分が『非難』されているのではないか、と思ってしまいがちです。

そして、もしかするとこれは、自分が非難されている可能性もある、といったところで。

しかし、相手側の立場で見ればですね、これは感情が先に立ったがために、少し怒りを感じてしまっただけ、という可能性もあり。やりたかった事は、『批判』の方だったのかもしれないのです。

この見極めが非常に難しく、そして自分が伝える時にも、非常に理解され辛い。

言い方・聞き方のどちらも、人によってかなりの差があり。どれだけコミュニケーションに成熟しているかといった問題も、非常に深く関わってきます、という事なのだと思うのですが。


 間違ったものを正しくしたい。あなたを責めている訳じゃない。

これはですね、今までどれだけの『批判』と『非難』を受けて来たか、また受け入れて来たかによって、解釈が変わってしまう内容かもしれないのですね。

ここに、ひとつのケースサンプルを用意したいと思うのですが。

例えば、私の知り合いのAさんは、とても論理的に物事を考える方で。そして、間違ったものが嫌いです。

常にそういった事を考えているがために、自分の周囲にいる間違った(と彼は思っている)考え方をする人を、正さずにはいられない。

しかし彼は、コミュニケーションがそんなに得意ではないのです。そこで、物事をとても感情的に捉える傾向にあるBさんと、お話をしておりました。

「○○を××と考えるのはおかしい。正した方が良い」

このお話を聞き、Bさんは大変にショックを受けてしまい。後に私と二人で会った時に、こう言ったのです。

「なんか○○が間違ってるってAさんに言われたんだけど。私、嫌われているのかなあ」

……ふーむ。これは難しい問題だなあと、私は思ったものです。

実際このケースで、「あなたが嫌い!」と言っている事も、やはりあると思いますので。

そして、おそらく私自身が人と話をしている時にも、このような誤解が起こっている可能性は大いにあるものです。



 批判の仕方についての、今すぐできる手法。

これはですね、身振り手振り、表情、口調などを駆使して、ある程度柔らかく、相手に伝える事が可能です。

私はよく行うのですが、相手に物事を指摘したい時、先じて相手の考え方、方向性そのものは否定せず。

共感した上で、『しかし、こちらの方が良いのではないか?』とする事で、相手に納得して頂く事ができる可能性が飛躍的に高まる、という手法を使わせて頂いております。

これをですね、『自分の感情を一切排除して』行う事が、非常に大切ではないか。

そう、考えているのですが。

もし相手が無礼な態度をしていると思ってもですね、それをそのまま怒りに変換して言ったのでは、結局の所理解して貰えず、徒労に終わる事が非常に多いと思うのですね。

だからこそ、これは一度相手自身を認め、共感した上でですね、新たな方向性を『問い掛ける』必要があるのではないか。

ここで、『こっちの方が良いよ』と言ってしまうと押し付けだと感じてしまう事がありますので、『こっちの方が良くない?』とする事によって、相手に『あー、そうかもなあ』と思って頂こう、という戦略でございます。

これは中々に優秀であり、『受け入れて頂ける批判』として、私のコミュニケーションの中で大切な、ひとつの武器になっている所があるのですが。

誰も、上から目線でぎゃあぎゃあ言ってくる人間の言う事を聞きたくはありませんよね。ええ、昔の私がまさにこれでした。

伝え方を知らないからこそ、そうなってしまうと思うのですね。少なくとも私は、『人に指摘したい時こそ下手に出る』という方法があるという事は、気付いておりませんでしたので。

それでもですね、相手の間違っている(と思う)部分を指摘するというのは、やはり難しい。

特にプライドが高く、相手をわあわあと非難する人ほど、『非難される』という事に対しては非常に敏感であり。センシティブかつネガティブに捉えられてしまう事が多いのではないか。

これでは、満足に議論を交わすこともできません。


 最後の武器、『私はこう考えている』。

では、どうすれば良いのか。最近になって、より『非難されているのではないか』と敏感に考えてしまう方のために、私はこのような武器を用意したものでございます。

それは、『私は、こう考えている。でもそれって、人それぞれだよね』という武器のことです。

「Bさんは、○○って考えている部分があって、それはとても素晴らしいことで、尊敬しているんだ。でもこの間気付いたのだけど、反対に考えてみると、××だと捉えられてしまう危険性もあって。これがね、勘違いされてしまう可能性もあるんじゃないかと、『ふと思った』んだよね」

これで駄目なら、その人のその部分については、元より修正しようがない部分だったのかもしれません。何れ本人の意思で理解して頂く他にないのではないか。

しかし、ここまで表現を柔らかくするとですね。多くの場合、「ああ、そうかもなあ」と思って頂ける可能性が非常に高い、ということで。

こうではないか。

批判をしなければならない時こそ、下手に出る必要があるのではないか。

などと、浅慮ながらも考えたものです。

私は、非難と批判を勘違いして捉えられてしまう方にですね、このような手法をお勧めさせて頂きたい。





相手を非難したい訳ではない場合。それは多くの場合、言わなければならない事ではあるが、しかし本当は言いたくない内容なのではないか。私は、そう考えております。

『言いにくい事をはっきりと言う』そのような美学も確かにあるとは思うのですが、それが相手に伝わらなかったとすれば、ともすれば怒りを呼ぶだけで終わってしまう可能性もある、といったところで。

それは、非常に残念な事ですよね。

そのようなお話をさせて頂くのは、やはりこれはですね、私が何度も心無い『批判のつもり指摘』をしてしまった事によって、相手に『非難』と勘違いされてしまい、まるで戦争のようになってしまった経験から、なのではございますが。

やはり、非難と受け取られてしまった場合はですね、言った方も言われた方も傷付いてしまう。だからこそ、言い方には気を付けたいなと、改めて思ったものです。

話し方、人とのやり取りが難しいというのは当たり前のお話かもしれませんが、やはりどのような時にもですね、誠意だけは持って対応させて頂きたいものですね。

お後がよろしいようで。


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