先日ですね、武蔵小杉駅のグランツリーに行く機会がありまして。
まさか武蔵小杉にこのようなシャレオツ的大型デパートが完成するとは、当時は予想もしなかったもので、やはり下町の空気は良いなあ、武蔵小杉はやっぱり飲み屋だよね、などと友人と話していたものではありますが。
しかしながら、時代と共に街というものもまた、驚くほど様変わりするもので。
高層マンションが建てられたり、古き良き建物が次々に取り壊されたりと、あれよあれよという間に若干のセレブ的空気を身に纏い、東京にも引けを取らない高級店が並んでしまった武蔵小杉。
もはやこれは、馬子にも衣装などという失礼な言葉を使っている場合ではなく。まさに武蔵小杉こそ、隠れた真珠。あ、ひとたびメインの通りを離れると、急に寂れて見えるのは、若干にもまだ当時の景観を残しているからではないかと私は考えているのですが。
かくしてこの場所は、古き良き時代から、新時代。ひいては、大海賊時代を迎えたのであります。
※大海賊時代は迎えていません。
『D'elices』にお邪魔してみましたよ。
さて、そのような気持ちでグランツリーを歩いているとですね、ある時私は、『D'elices』というタルト専門店を発見したのでございます。『D'elices』と言えば、原宿や銀座、恵比寿などに拠点を構える、タルトの専門店ではございませんか。餅は餅屋と言いますが、やはり『タルト専門店』というのは響きが良い。
何事においてもですね、やはり専門職というのは、憧れるものではないかと思います。私も生まれ変わるなら、村人AだのBだのという名前を付けられるよりは、剣士や魔法使い、僧侶などの職業が良いと思うものです。
そのように考えると、最終的に行き着く先はロード・オブ・ザ・リングだという事が、お分かり頂けるのではないか。
さて、突如として発見したタルト専門店を前にして、やはり後退する訳にはまいりません。三十六計逃げるに如かずとは言いますが、ここはカフェにもなっている場所。やはり、逃げ込むべきは店の中ではないか。
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どれも美味しそうなのです。 |
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こっちの方が良いかな?(ドナルド風) |
そのような事を考えながら並んでいると、どうやら席が空いたようです。私はワクワクとしながらも席に座り、ウエイトレスを呼ぶと、人差し指を立ててこう言いました。
「紅茶で」
※タルトは頼みました。
季節のフルーツタルト。
そのような冗談はさて置いてですね、私は普通に季節のフルーツタルトとコーヒーを頼ませて頂きました。紅茶どこいった。やはり店内はかなり混んでおり、それなりの人数が待ちになっている様子。奥ではタルトを作っているのでしょうか。席が広いのでよく分かりませんでしたが、恐らくきっとそうなのでしょう。
どこか、セレブリティな香りを醸し出しているのではないか、等と私は考えていたのですが。タルトなどという言葉だけでも御洒落的な空気が漂っている食べ物を、私などが口にしても良いものでしょうか。
などと考えながらもタルトの到着を待っていると、やがて若い娘さんがタルトを運んで来てくれました。そうして、私は衝撃を受けたのであります。
なんか光ってる。
何故光っているのか。その秘密を教えてくれる人は、そこには居ませんでした。しかし、確かにこれは光っている。もはや果物の領域を通り越して、その全身から溢れる美貌を余す所なく表現している……!!
やはりこれは、食の神秘。ハリーも呪文を唱えれば、ひとたび魔法が使えるのではないか。
タルト・オ・フリュイ・フレ。
(生のフルーツタルトをちょっとカッコ付けて言った風)
その昔、洋画を見ていたら少年が『グランドファーザアァァ!!』と言っていて、なんだその格好良い言葉は……!! と思って使っていたら、実はただのおじいちゃんだった、という記憶が蘇ります。
グランドファーザアァァ!!
それ、おじいちゃんって意味よ。
( ゚д゚)
孫にあげるのはもちろん、ヴェルタース・オリジナル。何故なら彼もまた、特別な存在だからです。
タルト専門店。その味は……?
さて、訳がわからない筈なのにどことなく良い話っぽい雰囲気を醸し出した所で、その味を確認しに行きましょう。どういう訳か光っている美しいタルトをフォークにて分断させて頂くと、その小さな一口を運びます。小さくたって一人前。コパンのCM、懐かしいですね。
しかして、そのお味は……
あまあぁぁぁい!!
若干スピードワゴンが入った所で、やはり私はスピードワゴンと聞くとJOJOスタンディングの方を思い出してしまうと小一時間。なんですかこの味は。私はこんなにも完成されたタルトは、近年久しく食べていませんでしたよ。
カスタードとフルーツの完璧なバランス。それでいてさっくりとして、湿りすぎる事のないタルト生地。それぞれの甘さを調節しなければ飽きてしまうだろうに、幾らでも食べられてしまうような絶妙の甘さ。
そして、コーヒーの苦味がタルトの甘さとマッチして、妙にセレブリティな腹踊りをパーフェクトにエンジョイしている……!!
こ、これこそが『タルト専門店』なるものが持つ、職人の業なのでしょうか。石の上にもさわやか三組、将を射んと欲すれば先ず馬を射よという事を確実に理解している巧妙な手口。
思わず私も惚れ込んでしまい、明日から一日三食タルトでまじかるタルルートくん、などと考えてしまうような満足感。
星のカービィスーパーデラックスがウルトラになった時のような感動と思って頂ければ、これは大体間違いが無いのではないかと考えております。
三食タルトは言い過ぎました。やはり私は、ジャパニーズピーポーとして米が食べたい。
さて、今にも零れそうな美味しさである事が理解して頂けたのではないかと、ある種の確信を持ってお伝えしている本記事ではございますが。
仮にですね、「まるで意味が分からない」という事があったとしても、それはそっと、心の中にしまっておいて頂きたい。
何故なら、心の中に広がるクリーミィな甘さは、あなただけのものだからです。それはきっと、あなたが特別な存在だから。
今では私がおj もういいですね。
お後がよろしいようで。
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