KADOKAWA / 角川書店 (2016-11-04)
売り上げランキング: 5,964
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何だか久々に漫画レビューを書きますね。今回は、ヤングエースより作楽ロク先生の『ブスに花束を。』でございます。
私がいつものように、「駐車場代が勿体無いから、漫画一冊買っていいよ」と嫁様に申し上げたところ、このように華やかで、どこか心の和む表紙の漫画を持って来た、というのが読むに至った経緯なのですが。
デパートなどでは駐車場にお金が掛かるのですが、そのデパートで品物を購入することにより、駐車場代が何時間かサービスされるという制度が、大体どこでも導入されていますね。
今回はその制度を使って、漫画を購入させて頂きましたよ。
まずは駐車場代という経費を節約して。しかもこのような、素晴らしい漫画が読めるという。
なんともこれは、良い発想なのではないでしょうか。
主人公、かわいい。
さて。とにもかくにも、これは嫁様に紹介して頂いた貴重な一冊ということで、早速読んでみる事にいたしました。このような可愛らしい絵柄の恋愛物語は今日び珍しく。
私はと言えば、もっとドロドロとした、不純で美しくない作風を好む傾向にあったのですが。
そのような趣味の違いを加味してもですね、この作品は面白いのではないかと思います。
何故ならそれは、主人公がかわいいから。ということで。
この作品は周囲のイケメン度とか美女度というのがですね、非常に丁寧に描き分けられており。
イケメン度(美女度)が上がるほど少女漫画的になっていく、というテイストと言いますか、雰囲気なのですが。
他に比べるとイケメン枠とヒロイン枠のキャラクターについてデフォルメが強い……つまり可愛らしいのですが、読んでいると不思議な現象が起こります。
同じ一つの作品を読んでいながらにして、美化されたヒロインと主人公はあたかも別の作品であるかのような気分になってしまい。
やがて、むしろ主人公がかわいいのではないか、という結論に至りました。
いえ。これは決して、もはやヒロイン枠を通り越した……アイドル枠のキャラクターがですね、可愛くないという訳ではないのです。
しかしながら、主人公とヒロイン枠のキャラクターを比べた時、これは比べるべきではない可愛らしさと言いますか。
リカちゃん人形とハムスターの違いと言いますか。
甲乙つけがたいところではないかと思うのですが。
……そのような訳で、読んでいると不思議と主人公が可愛く見えて来てしまうのです。基本的には性格も良い。
まあ主人公については、ちょっと卑屈すぎやしないかと思う面も多々あるのですが。そこは逃走本能が働いているのでしょうか。
自分に自信がないと、人に話し掛けるのって怖かったりしますよね。ええ、私もそうでしたよ。
思わず、「ねえねえ君ってフオォォォォウ!!」と、途中で言葉が成立しなくなってしまう事も多々ありましたね。
『ブスに花束を。』の魅力を語ろう。
物語の展開としては、『きょうは会社休みます。』や『ダメな私に恋してください』にも通じるような、コンプレックスを抱えた女性の恋愛奮闘劇、といった所なのですが。これはそろそろ、少女漫画の王道展開と言っても良いのではないでしょうか。いや、私が知らないだけで、とっくに王道なのかもしれませんが。
やはり、『苦労している女性は報われるべき』というのが、世間的にもですね、もはやひとつの重要なテーマになっているのではないでしょうか。
それをどうにかするために、いかに男性がイケメンへと昇華するのか。キング・オブ・イケメンの渦の中に飛び込んでいくのか、という。
もはや、飛び込みこそがイケメンではないか。
……まあいいでしょう。
残念ながら私はイケメンではないもので、女性に救いの手を差し伸べようと思うと、これは孫の手を差し出す以外になくなってしまうのですが。
その点この物語のヒーローは、孫の手どころではない貴重な手が差し出されますので、この優しく強いヒーロー枠のキャラクターには、魅力を感じます。
他作品よりもコメディ要素が強めで、登場人物(主に主人公)の表情がコロコロと変わるので、読んでいて全く飽きません。
万華鏡を眺めている時のように、ひとたび回転すれば色の変わる楽しみというものを、手中に収める事ができるのではないでしょうか。
そして癒される。これが大事です。テストには出ません。
『花束を。』のタイトル通りといいますか、今の所は特に鬱展開などなく、非常に華やいだ、ほのぼのとした雰囲気を楽しむことができております。日常4コマにあるような、爆笑というよりは和むといった感覚に近いと申しますか。
柔らかな日差しの中で、くまさんに肩を揉んで頂けるような心地良さが、この作品にはあると思うのですね。
むしろ出会ったのはくまさんだったのでは。
まだ1巻なもので、これからどうなるかは神のみぞ知る、といった所なのですが。
今の所は特に目立つヘコみ展開もなく、クスッと笑ってしまうような内容になっているので、読み終わるとほっこりします。
激しい展開、息もつかせぬドラマの競争がどんどんと激化している昨今、こういう読後感を持たせてくれる作品はとても貴重なのではないでしょうか。
後はそうですね、少女漫画のヒーローはイケメンでなくてはならない法則というものが存在すると思っておりますが、このイケメン君に共感できるのかどうかというのも、とても重要ですよね。
そういった意味で言うと、本作のヒーローは分け隔てなく、誰にでも優しいパーフェクト系男子なので、嫌味な部分が全く無いというところで。
こんな男居るのか、と思ってはいけません。
あまり世間を知らない素朴さも感じる程に。この辺りがまた可愛らしく、癒される要素のひとつになっているのかもしれませんね。
私としましては、非常に楽しんで読めた一冊ではないかと思っております。
今後の展開を見守ってみましょうぞ。
KADOKAWA / 角川書店 (2016-11-04)
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