浮遊する無名作家の浅慮

【漫画レビュー】ノンフィクションでも面白い。『SteveS』|(ノンフィクション)★★★★☆

スティーブズ(1) (ビッグコミックス)
小学館 (2014-11-28)
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たまに漫画界隈を捜索していると、こんなモノに出会います。
ビッグコミックスペリオールから、原作:松永肇一先生、漫画:うめ先生の作品です。



内容はもちろん、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、二人のスティーブズが繰り広げるAppleの話を、これでもかというくらいに漫画っぽく表現しています。
元はノンフィクションなのですが、これはもうデフォルメの上にデフォルメを重ねたような演出で、二人のスティーブ、その周囲に居る人達の個性がとびきり際立つようなデザイン・シナリオになっています。

スティーブ・ジョブズといえば、『テルマエロマエ』で有名なヤマザキマリ先生も漫画を手掛けておりますが、あちらは殆ど完全なノンフィクションであるのに対し、全く違う作風で対抗してきた、といった雰囲気があります。

スティーブ・ジョブズ(1) (Kissコミックス)
講談社 (2013-08-12)
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これがどちらも面白いんだ。


筆者はシリコンバレーでの激闘を描く、スティーブ・ジョブズ関連の話は本当にドラマ性があって好きなのですが、これは良い作品に巡り会えたな、という感じです。
でも、機械に全く興味が無い方は、どちらの話も少しツラい……かも、しれません。

今回SteveSの方を取り上げたのは、この作品が忠実に出来事を描くと言うよりは、漫画としての発想が新しいなあ、と思った点です。
そのうち、もう片方もレビューするんだろうけど。

ただ出来事をなぞるだけなら、やっぱり写実的な方が有利です。
しかし、「相手が言った事を無視したかと思いきや、翌日にはまるで自分のアイデアかと思わせるような顔で、『素晴らしいアイデアを思い付いた』と言う」ジョブズの『現実歪曲フィールド(Reality distortion field)などは、もうこれは漫画でしかできないだろー、と思わせるような形で登場したり。
これは是非、漫画の方を読んでみて頂きたいですね。

しかしながら、『B級はC級の人間を引っ張ってくるから駄目だ。A級はA級の人間とだけ仕事をする』に始まるようなジョブズの数々の名言を、実に印象に残る形で登場させてくれる。
なんとなく、読んでおくとビジネスにも役立つような気がしてならないのです。

そんな事を考えながら、次回作に胸を馳せるのでした。

いやいや、ノンフィクションをこんな風に書き上げるというのは、本当に面白い。
是非、お手に取ってみて頂きたい一作ですよ。




満足度:A(89%)★★★★☆

※評価は一読者としての私的な見解として、レビューに価値を持たせる為に付加しています。作品の面白さは人によって差が出る事、何卒ご了承ください。


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