さて、なんだか書きたくなってしまったこのコーナー。
『キャラクターの黄金比』について、少し書いておきたいなーと思います。
いや、別にこんな言葉がある訳ではなくて、勝手に名付けているものなんですが。
よく分からない人も居ると思うので、少しばかり前提を置いてから話していきたいと思います。
以前、『2人の主要なキャラクターに対称性を持たせると書くのが楽だよ』っていうお話をしたことがあります。
これですね。
物語構造編の途中で出て来てしまっているので、まあ細かい話は『物語構造の構築』シリーズを見て頂く事として……。
さて、この例では登場人物が2人の場合について取り上げているのですが。
実は、これが2人の場合に限らず、3人、4人、5人……と増えて行った場合も、同じような事が出来るんですよね。
そして、奇数の場合と偶数の場合で、ちょっと起こっていく事が違うという。
そんなものを、『キャラクターの黄金比』なんて、私は呼んでいます。
対称性の連続。
さて、2人の場合は対称性って簡単な話ですけど、3人以上の場合って、ちょっと大変だったりします。というのも、登場人物のバランスを考えなければならなくなるから、です。
誰か一人に突出して個性があると、その人にばかり話のバランスが偏ってしまって、他の2人を活躍させ難くなってしまいます。
かと言って、全員が似たような性格でのっぺらぼうだと、今度は誰も活躍できなくなってしまう。
登場人物の個性そのものが話の主役になる場合なんかは、特にそうですね。あんまり無難なキャラクターとして登場させられない。
さて、ではどうやって、対称性を持たせようか。
そこで、バランス良く登場人物に個性を持たせるためには、気にするポイントは同じで、その内容が違う、というのを意識しておくと、作るのがグッと楽になります。
と言葉で言っても、難しいと思うので…………こんな感じです。
A氏:身長普通。リーダーシップを持つタイプ。直情的で行動派だが、頭を使うのが得意じゃない。
B氏:身長高め。人の影に隠れるタイプ。土壇場の判断に弱いが、じっくりと戦略を立てるのが得意。
C氏:身長低め。独創的で、何をするか分からないタイプ。何理論か分からない行動をよくするが、思わぬひらめきで周囲に影響を与える。
と、こんな風だったとして。
ここでは、『身長』、『全体的な性格』、『急場の対応』について書いています。
このように、差別化をするに当たって気にするポイントはそれぞれ同じで、その内容が違う、という風に書いていくと、対称性を持たせやすくなります。
そうでない場合って、例えばA氏はスポーツ万能で、B氏は天然ボケ、とか。異なる要素で差別化を図ろうとしても、いざ書いてみるとどっちもスポーツ万能で天然ボケになったりして、安定しない事が多いです。
それぞれ考える事も大きく変わるので、物語の中でも活躍させ易いですしね。
キャラクターの黄金比。
さて、出て来る登場人物が奇数の場合は全員がそれぞれ活躍するケースが多いのですが、これが偶数になると、『ペアで行動する』という可能性が出て来ます。結構これが面白かったりします。
筆者は特に、4人で舞台に立つケースが好きで、これを『黄金比』なんて呼ぶ事が多かったり。
説明よりも見た方が早いと思うので、どうぞ。こんな感じです。
A君 (男):慎重で頭脳派。特技は推理して言い当てること。ハプニングに弱い。物語の主人公。
Bさん(女):直情的で天然。特技は人の心を動かすこと。弱点はないが、捕らわれがち。物語のヒロイン。
C君 (男):軽くて軟派。特技は小狡い手段で切り抜けること。ストレートな想いに弱い。A君のアシスト的存在。
Dさん(女):沈黙、無口。特技はポーカーフェイス。弱点はペースを乱されること。隠れキャラ的存在。
こんな構成、どこかでよく見ませんでしたか?
内容として気を付ける事は、A君とBさんの対称性、C君とDさんの対称性。この2つの軸を基にして、今度はA君とC君にも対称性を、BさんとDさんにも対称性を持たせる。
そして、その4人はそれぞれ違う要素で構成されているという事です。
男同士、女同士の関係には、違いは持たせても、そこまで正反対を意識しません。でも、ペアになる方には、はっきりとした対称性を持たせること。そうすると、ペアの時はペアとして活躍し、一人の時は一人で活躍する事もできる。
それぞれ得意分野も全く異なるので、物語に緩急を付けやすく、見せ場も独立させやすい。
まさに黄金比!
これはですね、書くのが楽しいんですよ。
何しろ性格が異なる4人なので、会話のテンポもペースも上がります。ボケとツッコミのような関係性も持たせやすいし、協力した時にもディベートを成立させやすい。
これに特殊能力なんか持たせちゃうと、もう少年マンガになっちゃいますね!
さて、この『黄金比』ですが、最近はあんまり意識されなくなっていますね。一昔前の作品には、はっきりと意識された作品が多かったように感じるのですが。
あれですね。時代と共に色々な性格のキャラクターが増えて来て、流行も変わり、そういうものを持たせ難くなっていったのでしょうね。
残念なことだ……。
あ、いわゆるハーレム物(男1 + 女3)なんていうのが流行しているからかもしれませんね。そうすると出来ないですからね。
でも型にハマった時は、これが本当に面白い。恋愛要素も作れるし、コメディにもできるし、共闘関係を築く事もできる……って、中々無い組み合わせではないでしょうか。
今でも、物語を作るなら主要な登場人物は4人か6人、なんて思ってしまっているくらいです。
何にしても、創作が楽しくなっちゃうような関係性を作って行きたいものですね。
筆者もこのパターンだけではなくて、もっと楽しいパターンを考えられるように努力していきたいと思っておりますよ。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
0 件のコメント :
コメントを投稿