小学館 (2012-10-05)
売り上げランキング: 47,867
売り上げランキング: 47,867
たまにゃ少女漫画のレビューでも。こちらは、フラワーコミックスから芦原妃名子先生の作品です。
物語の内容は、田舎に引っ越してきた主人公が事情を知らないままに現地の人と仲良くなり、様々なドラマを経験しながらも人間として成長していくよ、っていうもの。ざっくりしすぎで話の内容が全然伝わらないじゃないか。
いや、この作品についてはあらすじってすごく難しいと思うんですよ。何しろ、お話の軸になっている登場人物が主人公だけでは無い、というところで。
読んでみて思いました。
一巻から心を動かされる漫画は中々ない。
一巻から心を動かそうとしてくる作品は多々あるんですけど、それが成立しているだけのディテールを伴って現れてくる作品っていうのが、中々ない。
この作品はそれが成立している。……つまり、それぞれの登場人物が無理のない形で歴史を持っていて、すごーく繊細な感情を扱っています。
良い意味で、少年漫画とはホントに対照的だなあ、と思います。
少年漫画は雑味があって足りないディテールを熱気と根性で押しまくる系の作品が多いと思っているので。
物語が進むにつれて、他の登場人物も交えて過去と未来が明るみになって行くのですが、これがまた納得できる展開で非常に面白い。
個性もあるし、シーン構成なんかもよく考えられているんだろうなあ。
相変わらずネタバレをしないように作品の感想を書くのがすごく難しくてどうしよう、と思っていますが、『不朽の名作』と言われるだけの事はあるなあ、と思います。
こんな作品がもっと世の中に沢山出て欲しい。
主人公が何も知らないというのも、子供だから当たり前のことで。そこから先に起こる事件を、『何の発言権も』『力も』持たない主人公が、ただ見守らなければならない状況に陥っていく。
これはどうしようもなく絶望を感じることで、読んでいて「もう読みたくない……!! 読みたい!!」という、謎の状況に陥ります。
それらを経験した主人公達は、年齢にギャップを感じる程、大人になっていくんだなあ。
砂時計は、現在、過去、未来を表している。
その言葉の意味も、物語が進むにつれて重くなっていく、という。
筆者は正直、少年漫画よりも少女漫画の方が好きな作品が多い傾向にあります。
やっぱり、志と漢気は少なくても良いから、丁寧で重厚な作品であって欲しい、と思うものです。
小説や漫画を書くような人達には、『良いから読め』ってくらいに推奨したい一作です。
永久保存版のつもりで、Kindle版も購入してしまおうかなあ。
満足度:A(88%)★★★★☆
※評価は一読者としての私的な見解として、レビューに価値を持たせる為に付加しています。作品の面白さは人によって差が出る事、何卒ご了承ください。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
0 件のコメント :
コメントを投稿