浮遊する無名作家の浅慮

もっと砕いた小説の書き方⑦ いや、俺は熱い少年マンガが書きたいんじゃ! その1

もっと砕いた小説の書き方⑦ いや、俺は熱い少年マンガが書きたいんじゃ! その1



物語作品を作っていると、一度は書きたくなるのが少年マンガっぽいやつ。
男たちの熱い友情があって、血の滲むような努力があって、好きな女の子を命を賭けて救う愛があって、ちょっとお色気要素もある。そんなやつ。

マンガで育った現代日本人。その色々な顔を持つ愛すべき物語に惹き込まれた少年時代。作品を自らの手で生み出すようになった今こそ、少年マンガに賭けるその熱い想いを形にするべきではないか!

でも、絵は描けないんだよなあ。


そんなやつ。


筆者も長年絵を練習している身ではありますが、残念な事にそれ系の感覚はすっかり切れているのか、どれだけ研究しても思うように指が動いてくれません。
普段タイピングばっかりしているから、いざペンを持つと手が震えちゃうのさ。

そんな訳で、小説というか現代におけるライトノベルっぽいような形で、少年マンガを小説として形にしてはどうか。
筆者もそんな事を考える大多数の内の一人で、実に2年も少年マンガっぽい話を書き続けています。
何やってんだ。

あ、今はこんな話を書いています。よろしければぜひ……

(前略)あまりもの冒険譚!


中々思うようなレベルまでは到達できませんが、さすがに2年も毎日少年マンガっぽい話を書いていると、どうやってプロットを進めたら良いのか分かる事もありまして……
今回は、そんな事を書いていきたいなと思います。



 バクマンから学ぶ『王道少年マンガの必須条件』

さて、少年マンガの王道といえば、誰もが知っている『週刊少年ジャンプ』ですが、このジャンプに過去、『バクマン』という『漫画家が主人公の漫画』がありました。
映画になり、ドラマになり……知っている方も多いのではないかと思います。


バクマン。 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
集英社 (2012-10-12)
売り上げランキング: 10,248


さて、この『バクマン』では、主人公が王道少年マンガを目指すシーンがあり、王道少年マンガの必須条件を、次のように定めています。

  • 読者が自然に入り込める世界観であること。
  • バトルに迫力があって、かつ分かりやすいこと。
  • 笑える要素があること。
  • 泣ける要素があること。
  • 可愛いヒロインが登場すること。
  • 敵キャラが主人公と同等か、それ以上に魅力的であること。
  • その中で、目新しさがあること。

これは良い定義だなあ、と思いながら読んでいました。やはり少年マンガの事は少年漫画家が一番よく知っている。

さて、これらは要素でしかないので、実際に物語のプロットをこの内容で組もうとしても、そう簡単ではない事にすぐ気付くと思います。

『笑える』『泣ける』ってなんだ!!

敵キャラが魅力的って、具体的にどうすりゃええねん!!

……さて、そんな問題を解決するために、今回は筆者が個人的に得たひとつの解答を書いていきたいと思います。
何かの参考になれば嬉しいですね……!



 読者が自然に入り込める世界観

これは、現代中高生が『こんな世界があったらいいな』と考えるような事に相当します。
例えば、剣と魔法のファンタジー。ありきたりは確かにそうですが、最も分かり易く、読み手に世界観を想像させやすい。そんな感じです。
ですが、これではさすがにありきたり過ぎる。

そのありきたり過ぎるテーマで書いているのが私です。
こんな奴がこんなテーマの研究していて、本当にごめんなさい……

……さて、では『ありきたりではない』『分かりやすい』世界ってなんだよ。ここでひとつ、解決策を提示したいと思います。
後述の『バトルに迫力があって、かつ分かりやすい』にも繋がる二つの要素です。

  • 夢があってやってみたいが、現実世界では出来ないような武器・特殊能力
  • その武器・特殊能力が(物語上)自然に受け入れられるような世界観

この2つのポイントが、入り込める世界観を作る上で一つ、重要な要素になると考えています。
だから、少年マンガには異能バトルものが多いんですね。
王道少年マンガはまあ十中八九、戦いますから。

これは勘違いだと小説を書いてから気付きましたが、『誰でも知っている世界観』という考え方は基本NGだと考えています。
基本ですよ、基本! 絶対NGじゃないですよ。

前述の『剣と魔法のファンタジー』は、『剣と魔法のファンタジー』だから世界観として良いのではなくて、『剣や魔法を使って、敵と戦ってみたい』という夢のあるテーマが前提にあるから通用する世界だという事です。

あくまで、少年マンガとして一度はやってみたい事がテーマ。空を飛ぶとかね。
これを前提に持っておくと、世界観で苦労する事はないんじゃないかなあ、と思います。



 バトルに迫力があって、かつ分かりやすい

これも前述の世界観と繋がる部分があるのですが、登場人物の『○○やってみた』同士がぶつかる、という事が、バトルの内容に迫力があり、分かり易くなる一つの解答だと思っています。

よく、主人公には魅力的な特殊能力があって、敵は結構シンプルだったりするのですが、そうすると途端にバトルの魅力がなくなりますよね。

そんな話を書いているのが私ですが、『迫力がある』については物語構造上の課題もあって、以下の内容に気を付ける必要があります。

  • 相手のどんな部分が主人公にとって脅威であるか。
  • 相手の持ち味を殺すための、主人公の逆転の手札は何か。

この2つの問題を解決すると、バトルに迫力があって、かつ分かりやすい内容になります。覚えておいて損はないかと。
当然のように楽勝で勝てる、というのが楽しい場合もありますが、それはまだやったことがないので分かりません。
その条件で迫力を出すというのが、あんまり思い付かないというのもありますが。



 笑える要素があること

この問題に対する一つの解答は、『主要な登場人物がほとんど、できれば全員魅力的である』というのが物語にメリハリが出て、良い方法になります。

『魅力的である』というのは、登場人物に個性がある、ということです。
個性というのは、もっと掘り下げていくと……

  • 物語の中で登場人物個人が何らかの問題・課題を抱えていて、それが物語を進めて行くに連れて解決していく
  • それぞれ異なった生い立ち・歴史があり、その歴史から主人公とは考え方が違い、大筋の物語において主人公をサポートするような立場に立てる・立っている

この2つが達成されている登場人物、ということになります。
どうでも良いけど、なんだか『2つのポイント』が多いですね。意識している訳ではないのですが。

さて、何でこれが笑いに繋がるのかというと。

この『登場人物に魅力がある』が達成された物語は、プロット上で『登場人物同士のぶつかり合い』を作りやすくなります。
これがかなり大事な部分で、そのぶつかり合いに驚きがあって、かつ下らない(どうでもいい)ものが、笑いに変化するんですよね。

ぶつかり合いに驚きがあって、かつ真剣な内容だと、それは迫力に変化する、というところで。

『笑い』って難しいテーマですが、これを意識しておこうと、楽しくテンポのある会話を作ることができます。



なんだ、書いていったら随分と長くなってしまったじゃないか……

しかし、こうして私自身の解答を書けば書くほど、『解答は一つではない』のだなあ、という事をしみじみと実感させられますね。
後半はまた次回に回させてください……



スポンサーリンク
スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿