こんにちは。
今回は、サスペンス・ミステリー系小説の醍醐味(?)である、叙述トリックについて書いていきたいと思います。
ある意味賛否両論生まれてしまう叙述トリック。今回は、そもそも叙述トリックって何なの? という所から始めてみたいと思います。
叙述トリックとは?
一般に叙述トリックと言われるものは、『読み手にAのシナリオを信じさせておいて、実はB』といった類の引っかけを行う、というものです。読者の期待を『良い意味で』裏切る、という所がポイントで、何でもかんでも裏切ればオッケ! というものではありません(当たり前だ)。
当然引っかけを作らなければいけないので、プロットとしては作り込む部分が増えます。シナリオの美しさとは関係の無い所で頭を悩ませる事もしばしばです。
ストーリーの中で行われる『引っかけ』
例えば推理モノの小説などでは、途中まで明らかに犯人はAさんだと信じさせておいて、蓋を開けてみたら実はBさんだった、という事がよく行われます。これも一つの叙述トリックですね。大切なのは、文章上の仕掛けによって読者がミスリードをしてしまう、というところ。大切な部分を隠してしまえば騙すのは簡単ですが、叙述トリックにおいては真実を当然のように書きつつ、読者に分からないような仕掛けを作らなければならない。
うーん、難しい!
何気無い会話の中に、実は登場人物の考えている事を窺える何かがあったり。一見して何でもないような事が、実は大局の問題を解決する鍵になっていたり。
筆者も去年、拙いSFを書いていた時には、『全編叙述トリックで固めてやろう』という、あまりにも無謀な挑戦をしたせいで、丸一年に渡ってプロットを考える必要が出て来てしまいました。
まあ、今となっては良い訓練だったなあ、と思いますけどね。
考えている間が辛いんだ。
叙述トリックのいろいろ
では、簡単な叙述トリックをここに書いてみたいと思います。
ぶっつけ本番で大丈夫か?
朝、学校に行って下駄箱を開けると、そこには一通の手紙が入っていた。
ぶっつけ本番で大丈夫か?
朝、学校に行って下駄箱を開けると、そこには一通の手紙が入っていた。
その手紙の存在を見た時、僕の心臓は高鳴った。その人は学校でも一、二を争う人気の持ち主なのだ。男にも女にも人当たりが良く、成績も優秀で、非の打ち所が見当たらない。加えて、生徒会長でもある。僕のような凡人になんて、普通は話し掛けて来ないような存在だ。
それが、放課後に体育館裏まで来て下さい、と書いていた。
こんな話、良い話の筈がない。どうせ果たし状だとか、そんな事に決まってる。
生徒会長が果たし状なんて、書くもんなのか……? いや、何れにしても、まさかラブレターということは無いだろう。
ラブレターではない、はずだ。いや、絶対に。
ついに、体育館裏の前まで来てしまった。僕は覚悟して角を曲がり、体育館裏へと進んだ…………!!
「……凡人くん?」
その人は僕を発見すると、僅かに顔を赤らめて僕を迎えた。思わず、僕の緊張は高まった。
向こうも緊張しているのか、その瞳は今にも泣き出しそうな程に潤んでいる。僕は喉を鳴らして、生徒会長を見た。
果たし状じゃ……ない!? ま、まさか…………まさか…………!!
「お…………俺、ずっと前から凡人くんの事が気になっていたんだっ!! 俺と付き合ってくれっ!!」
僕は項垂れ、その場に膝をついてしまった。
生徒会長は…………同性愛だったんだ。
こんな題材ですみません。
まあ、大体こんな感じのイメージになります。嘘を書かず、しかし真実は最後まで書かない……叙述トリックを書く上で、何かのヒントになれば幸いです。
しかし、叙述トリックって書く側の人間は書きたくなりますけど、読み手側はそこまで求めていなかったりするんですよね。
楽しければいい、考えて読みたくない。特に最近は、芸術作品全体がそういった流れになっているなあ、と感じさせます。
手法としてはもう古いのかも? しれませんが、やっぱり小説書きとしては、どうしても入れてしまいたくなるものですね。
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