講談社 (2012-09-28)
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「俺の人生はずっと『勝俣の前フリ』みたいなもんだ」
作者:久保ミツロウ
私はこの作品にものすごい衝撃を受けました。……ということで、今回は久保ミツロウ先生の『モテキ』です。
読んだのはずっと前ですが、何だか不意に感想が書きたくなってしまいました。
『モテキ』とか言ってますが、この作品はモテない男性が主人公の物語です。
全く連絡も取っていなかった古い女性の友人から、ある日一斉に連絡が来ました……という、あるのか? な所から始まります。
すごいなあと思うのは、自分に自信がない・恋愛経験もない・青春はとっくに通り過ぎた、という三拍子揃ってしまった主人公の内面が何ともリアルで、引き込まれていくところ。
自分から声を掛けられない、会っても何話していいか分からない、美人は既に相手がいそうで手が出せなくて、かといってそれ以外と一生懸命付き合う気もしない……
人生スタートからモテる人はどうだか分かりませんが、特にそうでもない人々は絶対に通る道ではないでしょうか。……違うかな。
最後まで通して読んでみると、いつの間にか主人公の女性を見る目が変わっていて、ちゃんと一人の人間として見ているのだなあ、というのが分かるのがすごい。
何となく見た目イケてそうだとか、自分に優しくしてくれるから好きだとか、そういう理由ではいつまでも人って変われないんだなあ、と考えさせられました。
だから女性も一人の人間として話さなければいけないんだけども、しかし何となく、女性を前にすると抵抗を感じてしまうという。
あるあるジレンマですな。
そんな事ばかり書いていますが、男性ばかりではありません。女性の心理描写もとても細かくて、驚くばかりです。
「女の人生、そんなに男だけに乗っかってる訳じゃないから」と言いつつ、やっぱり結婚は一つの大きなイベントで、それに一喜一憂して振り回される女性像まで見えている。
何だかなあ。なんというか、リアルすぎて若干胃もたれしそうな気も……
私は面白かったのですが。そして、考えさせられましたが。
サクセスストーリーと言う程、爽快なハッピーエンドが待っている訳でも無いので、中には楽しめない人も出てきそうな。
筆者はそういうドロドロしたのが好きなタイプなので、一つの参考程度に思って頂ければ幸いです。
満足度:A(80%)★★★★☆
※評価は一読者としての私的な見解として、レビューに価値を持たせる為に付加しています。作品の面白さは人によって差が出る事、何卒ご了承ください。
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