浮遊する無名作家の浅慮

『ありそうでNASA荘』の超次元コメディっぷりがすごい。【漫画レビュー】

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なんだかタイトルに惹かれて読んでみましたが、このゆるさは一体何なのでしょうか。

という事で、今回は柊裕一先生の『ありそうでnasa荘』という漫画です。

とにかくゆるい。登場人物が全員ゆるいという。

これは新時代のゆるキャラではないか。思わず、そのような事を考えてしまいます。

コメディ力がとにかく素晴らしく、設定は『ジャングルはいつもハレのちグゥ』を彷彿とさせるような何かがあるのですが。或いは、『ギャラクシーエンジェル』でしょうか。

一話完結できちんと物語が展開していく所は単に超次元ギャグのそれではなく、どこか作者様の力量を感じさせる。

そんな、『ありそうでnasa荘』の魅力を語っていきたいと思います。





まともではない人達。

物語は、ついうっかりNASA月面基地に忘れ去られたアリスとエルというアメリカ人の二人が東京に不時着し、どうにか日本で暮らし始める、というものです。

一見まともそうだけど、どこかズレていてまともじゃないアリス。一見してまともではなくて、中身もやっぱりまともではないエル。そんな二人は自らをオーピタル星人と思い込み、日本人(むしろ地球人)を殆ど異星人扱いして、警戒しています。

お金もない。服もない。しかしながら、東京・月島を侵略し続ける日々。

大丈夫ですかこれ。私、あらすじを語っているだけなのですが。

とにかく、こんな設定で物語が進んでいくのです。私は見た事がありませんよ。茶柱を立てる事に全力を注ぐ作品のような、言うなればそう、ベン・トーのような無気力と真面目の間を浮遊している。

浮遊する宇宙人、アリスとエル。

まさにこれこそが、新時代のコメディ・スターウォーズなのではないか。

巻数が先へと進むごとにキャラクターも増えて行きますが、基本的にはどこか勘違いした人ばかりが増えて行くので、もはやこれは勘違いフェスティバルを鮮やかに表現した、現代におけるバラエティ番組のようなそれではないかとも思わせます。

何が出てくるか分からない。そのような、コメディとしての面白さを地で行くこれはまさに、「ありそうで無かった」。そう、『ありそうでnasa荘』そのものではないか。

ええ、何を隠そう私はこのような、ボケにボケを重ねて既にこれはボケなのではないかと思えるような作品が大好きでして。

もはや何を言っているのかよく分からない。

そんな感じで。



ラブコメディの要素も兼ねている。しかし、全くラブコメしていない。という魅力。

最近は一風変わったヒロインの登場するラブコメというものが多く世の中に登場したような気がしなくもないのですが、この作品もやはり、王道的ヒロインと変わったヒロインの二重奏で物語が進むようにできているような気がしなくもない、というところで。

もはやこれは、気がしなくもない要素なのではないか。

やはり、ヒロインといえばボケであり、主人公と言えばツッコミなのではないかと私は密かに思っているのですが、この作品は主人公もボケてしまっているが故に、これはポケポケではないか。

『まもって守護月天!』のアニメ版第一話のタイトルは『彼女はポケポケ』でしたが、これはまさにボケがボケを呼ぶボケの墓穴ではないかと。

むしろ、墓穴を掘るのがヒロインの役目ではないかと思えるようなシーンも多数登場しております。

何しろ主人公は自分の事をオーピタル星人だと思い込んでいるのです。その勘違いから繰り出される電波言動の数々は、やはりヒロインを困らせるには十分な要素だったのではないかと。

ツッコミ不在の異次元トーク。そんな漫画、ありそうで無かった。そう、『ありそうでnasa荘』ではないか。

やはり、ラブコメと言えどもラブをコメディするためには、主人公とヒロインの掛け合いが何よりもですね、大事だと思う訳なのです。しかし、この場合、主人公もヒロインも少し設定が普通の日本人とはかなりかけ離れている、といった所でして。

しかし、舞台は東京・月島。こんな漫画、ありそうで無かった。そう、『ありそうでnasa荘』ではないか。



なんだか風邪薬のCMみたいになってしまいましたが、つまりはそういうことです。

読んでみなければ分からないのです。

全くレビューの意味を成していませんね。

そんな、コンビニの肉まんを食べ漁るようなストーリー。ジャンクフードが大好きなあなたにおすすめできる一作です。

こんな物語、ありそうでもういいですね。

お後がよろしいようで。



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