浮遊する無名作家の浅慮

『ぐらんぶる』を電車で読んではいけません。笑うから。【漫画レビュー】

ぐらんぶる(1) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2014-11-07)
売り上げランキング: 10,057


さて、誰に言ってんだという感じのタイトルになってしまいましたが。

今回は、アフタヌーンコミックスから井上堅二先生(原作)と吉岡公威先生(漫画)の作品でございます。

これはですね。コメディが好きな方ならば、絶対に読まないと損ではないかと思える位、今一番アツい大学ダイビング漫画ではないかと思います。

……この作品の他に、大学ダイビング漫画を知らないという事もありますが。

意外と真面目なダイビング解説(1割)×宴会(9割)という、一体どの辺が大学ダイビング漫画なんだというツッコミをするのもはばかられる、怒涛のギャグの数々。いや、むしろこれでこそ大学ダイビング漫画なのだと言うべきでしょうか。

私の個人的な感想としては、電車の中では読まない方が良いと思いますね。何故かと申し上げますと、周囲に変な目で見られます。

エンターテイメントを追い掛ける身の私としてはですね、本作は非常に興味深い一冊でして。もう本当に、頭をからっぽにして読める。これ大事ですね。

いやあ、いい作品だなあ。


 これはひどい。

一話を読んで、思わずそう呟いてしまった私。もう一話から笑いの連続で、一冊を読むのが早い早い。

……と思っていたら、原作の方は『バカとテストと召喚獣』で有名な井上堅二先生。やはりあなたでしたか。

バカテスも大概、笑いを誘ってくれましたが。今回はそれ以上にですね、ギャグが冴えているような気もいたします。

作画の吉岡公威先生は、蒼柩のラピスラズリや甘城ブリリアントパークのコミカライズなどで有名な方のようですね。

何がすごいかと言いますと、やはりその裸率。しかも男。ではないでしょうか。

いや、漢と表現するべきでしょうか。

ダイビング漫画の筈なのに、ダイビング的な要素は殆ど出てきません。あまりに出て来なさすぎるもので、主人公も勘違いする程の飲みサークルっぷりを披露しております。いや、ここは酒にダイビングしたのだと解釈するべきでしょうか。

物語が先に進むにつれて、少しずつダイビング要素が増えて行きますが。やはりですね、ダイビング(1割)なんですよね。最近はもう少し増えたような気もしますが。

特に主人公含めて登場人物が突き抜けた人間ばかりで、人道は通すけれど手段は選ばない、そんな良くも悪くもハッキリとしたキャラクターが勢揃いしております。そんな彼等が飲みにダイビングにコンテスト(?)、とにかく色々活躍して頂けると。

……あ、男は裸になりますが、女性はあまり裸になりません。主人公はわりと恋愛脳(動物的本能?)しているのですが、直球お色気に頼らない所も私としてはかなり高評価。

いやまあ、それにしたって男の裸率は思わず「これはひどい」と言ってしまう程には多いのですが。


 行く所まで行き着いた笑いとはいかに。

さて、コメディというとやはり人によって評価がかなり割れる種類の作品だと思っているのですが、この作品は中でもですね、広く当たりやすいのではないかと考えております。

それでも差は出ると思いますが、よこはやはり裁量ではあるのですが。

というのもですね。何故笑いというものが起きるのかと申し上げますと、これは調べてみると「危険を伴わない、(あるいはくだらない)驚き」という所に集約されると。どうやら、そういう事のようなのですね。

そういった観点で見てみますと、この作品は主に直前まで期待させておいた流れに『ならない』という所で笑わせて来ますので、ストーリー性を伴っている所が万人受けし易いのではないか。

驚きというと、まあ突如として上からタライが降ってくる、ですとか。突発的な笑いを取り入れているコメディ漫画は沢山あると思うのですが、こちらはそういったネタは控えめ。

むしろ、よくここまで意外な展開を連発できるな、という所で、むしろ私としては感嘆さえしてしまうといった具合なのですが。

あと、やはり顔芸ですね。涼川りん先生の「あそびあそばせ」にも通じるような強烈な顔は……いや、さすがにそこまでは行きませんが……やはり、どうしても笑いを誘います。

もっとこのような作品が増えて欲しいと。退屈な日常に刺激を与えてくれるような作品が、と。私は、そのように願う所です。




という事で、やはり笑いは正義ですね。この作品だけは、発売前からつい予定日を追い掛けてしまいますよ。こんな笑いが書けるようになりたいなあ、と少しばかり思いつつ。

やはり、娯楽というものはこうでなければ。漫画は芸術とエンターテイメントの間の子だといったような認識がありますが、やっぱりこういう作品が映えますね。もう大好きです。

と、このように書くと何だか笑いばかりの作品に見えてしまいますが(いや実際そうなのですが)、ストーリー上の連続したドラマもやはりある、といった所で。

特に、普段あまり真面目にならない主人公が真面目になる時というのは、大概ちゃんとドラマしているというのも魅力的に映ります。これだけどんちゃん騒ぎを起こしていながら、芯の部分ではブレない主人公というのが良いですよね。

何はともあれ、私は強く。是非、一度読んで頂きたいと。そのように思う所で。

やっぱり漫画は、原作と絵が別れているものを好きになり易い気がします。この作品は、話と絵が見事にマッチしている一作ではないでしょうか。

お後がよろしいようで。




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講談社 (2014-11-07)
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