こんにちは。
前回までの流れでは、順を追って詳細へと落とし込んでいく『ウォーターフォールモデル』を見て行きました。
しかしこの考え方には弱点があり、既に作られたモノの完成度を上げる為にはとても有効ですが、初めて作る場合には設計が大変で、想定外も多いという問題がありました。
殆どの場合において、作品作りは初めての課題に挑戦する事が多いでしょう。
その場合には、この手法だけで作品を目的の通りに作る事は難しいかと思われます。
そんな時に制作を助ける手法として、『反復型開発モデル』というものがあります。
これは一体、どういった手法なのでしょうか。
『反復する』モデルの考え方
ウォーターフォールモデルの場合は、システムに必要なものを全て最初の設計に詰め込み、それを徐々に詳細化することでシステムの完成を目指しました。反復型開発モデルの手法は、その名の通り、ソフトウェアシステムの原型を作り、それに反復して直しを入れて行く、という事です。
ユーザーに必要な最も最小限の機能だけを考え、まずはそれを実装します。その機能が完成された段階で一度、分析・評価を行い、その評価結果に従って次に必要な実装を計画します。
初期機能の結果次第では再設計を行い、最もユーザに適した形になるように、常にソフトウェアが変化していくのが特徴です。
どんどん良くなっていく、という事の強み
反復型でソフトウェアを開発する事の利点は、『初期の段階で一度、ユーザに見られる形が出来上がる』という部分に尽きます。そこから生まれる問題点を、今度は完成形をモデルにした上で計画・解決する事ができます。
それでは、これを物語に応用した場合、どのように作って行くのかを見て行きましょう。
最初の段階の設計は、可能な限りシンプルに
プロットを書いていくに当たり、最も必要な事は『物語の中で、メインとなる部分はどこか』です。この目的地でありゴールに向かって、様々なシーンを構築していきます。
ということは、この段階でプロットに盛り込むのは、『それぞれのシーンで、どのような事を見せなければならないか』これだけです。
ここさえブレなければ、後は実際に本文を書いて行きながら、登場人物の視点で物語を進める事ができます。
前回までの考え方では、それぞれの登場人物がどのようなトリガーを持って、どう行動するのかをプロットに書き出し、
その通りに書いて行く手法を取っていました。
その過程で、それぞれのシーンに盛り込まなければいけないモノが何なのかを洗い出していました。
今回は、その伏線を張る作業は後回しにします。
シーンを書くつもりで、本文を書いて行ってしまう
ある程度、物語の基本軸が定まったら、今度は実際に本文を書きながら、登場人物の気持ちを追い掛けながら、プロットの段階で書き起こした『シーン』をなぞっていきます。そうすることで、等身大の登場人物が自由に動く物語へと変化していくのが狙いです。
伏線は追い掛けません。結果が出てから盛り込んで行くので、それまでに出ていなかった重要な事は、メモにでも書き出しておきましょう。
それぞれのシーンは改行を挟むなどして分けておく事で、時間の経過を後で追い掛け易くなります。文章校正もし易くなるのでお勧めです。
気を付けなければいけないことは、登場人物の気持ちに嘘を吐かないこと。無理に進めている部分があったら、その場で立ち止まってこれまでの過程を見直します。
しかし、直ぐには反映させません。何か必要な事があった場合、それを後で盛り込むとして、とにかく最後まで書いてしまいます。
その場で盛り込まないのは、最後まで書いてから直しを入れないと、シーンのテンポが悪くなり、しかもその原因が分からず、反復して直して行く利点を活かし辛いからです。
このモデルを使う場合、最後まで書ききるのはファースト・ステップに過ぎません。さっさとと書いてしまいましょう。
重要なのは、ここからです。
読み手の視点に立って読み返し、改正点を洗い出す
シンプルに書き切った物語が完成したら、一度読み手の視点に立って、自分の作品を読んでみましょう。この段階では文字数も少ないでしょうし、一気に読み終える事が出来るでしょう。
そうしたら、それぞれのシーンで成立している部分・成立していない部分を洗い出し、書いて行く途中で気付いたポイントに追加していきます。
なんとなく読み進められない、何故かこのシーンは自分が思っていたほど面白くならない、と感じた場合は、プロットの段階で自分がどういった内容を期待していたのか、もう一度立ち返って考えてみましょう。
大抵の場合、面白くならないのは以下の二点が成立していない場合の事が多いです。
・登場人物の目的と行動が一致していない=読み手が登場人物の視点に立てない
・書かれていない内容がある=作者の期待していた登場人物像と、読み手の思い描く登場人物像が一致していない
勿論これだけでは無いですが、書いている時に気付き辛く、自分が読み返しても原因がはっきりし難いポイントです。
一応、意識の配下にあると役に立つかもしれません……役に立つといいなあ。
完成形は『無い』事を念頭に置いて
ということで、『反復型開発モデル』を応用した物語の作成方法を見て行きました。修正点を直し、再度読み返し、修正点を洗い出し……これが延々と続きます。ある意味、最も究極のスタイルかもしれません。
ですが、やり始めていたら完成形は無い事が多いです。一度公開してから気付く事も山ほどあるので、試行錯誤はほどほどにしておきましょう。
最近、筆者はこのスタイルを愛用しています。
とにかくこのやり方で物語を作って行く事で、次に似たような構造の物語を作りたいと思った時はウォーターフォールモデルに移行する事ができ、より作品が美しくなりますし、
それまでにない事をやりたいと思った時に、『とりあえずサンプルは完成する』といった強みが大きいです。
構築のスタイルは泥臭く、キッチリしていないので、疑問に思う方も居ると思いますが
はじめから綺麗に出来る者は居ないと、ある程度割り切ってしまった方が『完成させる』力が身に付くと思います。
……等と言いながら、相変わらず筆者も作り方が一貫しませんが
一貫した時は多分書かなくなる時なので、研究は永遠に続くのでしょう。これも『反復型開発モデル』ですね。
それでは、次は『アジャイル開発モデル』を見て行きますが
今の所、これは物語に応用できる事は少ないかな?
次回に続きます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
0 件のコメント :
コメントを投稿