浮遊する無名作家の浅慮

初めてのバリウム検査…後の悲劇。そして、対策について。

バリウム検査後の悲劇と対策について


「バリウム検査って何なのか正直よくわからないんだけど、痛いの?」


そんなレベルの知識でバリウム検査を受けようとしている方はいらっしゃいませんか?


……私です。これまでの私でした。


私の会社でも、毎年健康診断があるのですが。今年の検査項目を見て、少しだけ驚いてしまいました。

上部消化管X線造影検査。

いわゆる胃バリウム検査と呼ばれるアレですよ、ええ。

まあこれが……何だかよく分からなかったもので。特に何の躊躇もなく、「まあやってみっか!」程度の、少年マンガのようなテンションで受けてしまったのですが。

これがまあ、ちょっと想像を絶するほど苦痛で。

受けるのも苦痛。受けた後も苦痛。

今回は、そんな『胃バリウム検査』がどうして辛いのか、その『悲劇』。

そして、その『対策』について、書いて行きたいと思います。





 『胃バリウム検査』そのものの苦痛。

「じゃあ、バリウム検査をはじめますねー」

そう言って渡されたのは、発泡剤という名前の……なんだか白っぽい液体。牛乳みたいですが、やっぱりどこか違います。

子供の頃に食べたパチパチキャンディのような味のする発泡剤を飲んで、何とも言い難い微妙な甘さのバリウムを飲みます。

ふーむ、と思っていると、担当の方からこんな一言が。

「ゲップするとやり直しになってしまいますので、注意してくださいねー」

……注意してくださいねと言われましても。一体、何をどう注意すれば良いと言うのか。

幸いにして、特にゲップをしたくなったりは……ん? ……と、気付く私。いや、意外と苦しい……ぞ?

そうなんです。発泡剤なので、飲んでから胃の中に空気が溜まっていくんですね。

何だか胃の奥から、込み上げてくるものが……いや、ちょっと待ってください。これ、結構辛いですよ。注意しろって、耐えろって事か……!

「ここからは、転がって撮影していきますので。ゲップだけ注意してくださいね」

こ、転がる……!? この状態で……!?

身体が様々な方向に回転し出しました。訳も分からず、とにかく耐えるだけの私でしたが。逆さまになったり、横向きになったり……耐えること数分。

「はい、終わりましたよー」

……ん? ……いや、終わった……終わったの?

なんだ。辛いって聞いていたような気もするけど、やってみたら意外と大した事ないじゃないか。これなら、苦痛的には注射と大して変わらないぞ。

なんて、私は安堵しておりました。

健康診断でしたが、その他の検査は終えております。後は帰るだけ。意気揚々と検査室を出ようとすると、担当の方が私を呼び止めました。

「これ、下剤です」

……下剤?

「水を沢山飲んでくださいね。目安は夕方までに2リットル

……2リットル?

一日でなく?

夕方までに?

……そう、本当の苦痛はここからだったのです。


 検査後の『悲劇』。

気になったので調べてみると、こんなことが書いてありました。

やはりバリウムそのものは、人体に害を与えません。

ところが、この硫酸バリウムは体内で吸収されずにいつまでも残り、時間が経つと徐々に固まっていく、という性質を持っているようなのです。

……固まる。……つまり、腸内で。つまり、便秘になると。

そうならない為には、腸内に満足できるだけの水分を確保し、バリウムが勝手に固まらずに排出されるように調整をしなければなりません。

だから水を飲む、という事だったのですか。そして、その為の下剤と。……なるほど。

でも、下剤は飲みたくないなあ……。よし、水を飲もう。気合い入れて飲もう。

そう考え、私は「水を飲む」ことを実行に移しました。

人間が一日に必要とされる水分量は、1.5リットル〜2.5リットル程度だと言われています。

また、一度に吸収できる水分量は150〜200ccくらいだとも。

この規定量を超えて摂取を続けることで、消化器官に過剰な水分が行き、バリウムの凝固が抑えられると。なるほど、完璧ですね……!


……と、ここで少しだけ、お時間を頂きたい。


ご存知でしょうか。実は、水はむやみやたらと多量に摂取すると、あまり良くないのです。

体内の糖分・塩分濃度を薄めてしまい、むくみや不調などの問題を引き起こします。

私は、この事を知らなかったのですよ。なので、飲みまくりました。

水を飲み続けていると、段々と倦怠感が増して行き、頭がぼーっとしてきます。

あれ……? なんだか、おかしいぞ……。

つ、辛い……。なんだか分からないけど、辛い。

でも、そうは言っても水は飲まないと。

そうだ、食べ物を食べて排出しよう。そうすれば、早めに出て行くのでは。

そう思い、今度は食べ続けました。たまに腹の中でゴツゴツとした腹痛を感じつつも、食べたくないのに頑張って食べるという。

結果。


……結局、お腹を壊しまして。


しかし腹の中で固まりゆくバリウムに恐怖を抑えられず、夜も水を飲みまくりましたよ。

体内から出て行ったと分かった時、脱力して身動きが取れなくなりました。



 バリウム検査とはなんだったのか。

「そもそも、バリウム検査って何をしているの?」

空っぽの状態の胃に、硫酸バリウムの乳化剤を入れていく検査です。この硫酸バリウムを胃の壁に付着させながら、X線による検査を行っていきます。

……な、なるほど。何を飲んだのかよく分かりませんでしたが、あれこそが硫酸バリウム。

『バリウム検査』と呼ばれる、それそのものだったのですね。

甘くしているのは、飲みやすくするためでしたか……。

どうもこの硫酸バリウム、X線を反射する性質があるそうなのです。そのため、通常の状態で胃をX線撮影するよりも、遥かに多くの事を調べる事が出来るのだとか。

主に胃がん、食道がん、胃・十二指腸潰瘍などを炙り出す目的で使われる、とのことです。

しかし、X線による撮影って、どこかで聞いた事があったような……。

そうです、レントゲンです。

レントゲンは、X線撮影検査と呼ばれます。

身体にX線を当てる事で、その吸収度によって陰影を付けると。そうすると、身体の内部状態を確認する事ができます。

なるほど、これの応用だったのですね。

X線は例えば骨など、密度の高い物ほど吸収される傾向にあるのですが、これで胃の内壁を撮影する為には、何も無い状態では吸収率があまりよくありません。そこで、硫酸バリウムを飲むのだということです。

硫酸バリウムは人体に害がない金属で、かつX線の吸収度が高い(透過度が低い)物質です。

これを飲んでゴロゴロすることで、胃の内壁にバリウムを付着させ、状態を撮影しよう、というのが上部消化管X線造影検査。

つまり、胃バリウム検査だったのです。



 バリウム検査後の『対策』について。

私はですね、決めましたよ。

バリウム検査は当分受けるまいと。

……いや、申し訳ない。でも、私は逃げます。

どうしても受けると言うのであれば、次なら私は下剤を飲みます。

下剤を飲みましょう。結局お腹を壊すくらいなら。

バリウムが腸内で固まってしまうと、次は浣腸くらいしか手段がないそうで……そんなのは嫌です。さっさと出したいんです。

身体の中に異物を入れるのは嫌だという、私と似ているあなた。バリウム検査は、こういった出来事が待っている事を覚悟して受けましょう。

……いやー。正直、きつかったです。

がんの早期発見に重要なバリウム検査ですが。……調べたところ、これだけの苦痛を伴ったとしても、

  • 精密検査には結局、内視鏡検査が必要になるケースも
  • ピロリ菌などの発見はできない

といった事もあるようなので……。

私はですね、決めましたよ。

バリウム検査は、当分受けるまいと。

内視鏡にします。多少苦しくても、検査中だけの苦痛がいいんです。

……ということで、バリウム検査ってこういうモノだということを初めて体験しました、というお話でした。

私のように特に調べもせず、「まあ皆やってるし、大した事じゃないでしょ」と思って受けない事を強くオススメします。

ちゃんと内容を調べて、何を検査する為に受けるのかを理解してから挑むことを……おすすめさせて頂きたく。

私のように、とても損した気分になりますので。

……いやー。参りました。





ところで、今回のバリウム検査、どうも聞いてみると、社員全員が対象となっていたようで。

会社の若い子も含めて、全員バリウム。……あれ? 確かバリウムって、若い時からやると胃を悪くするだけだから、止めた方が良いって聞いたような気が……

なんで今の年齢でバリウムをやらなければならかったのかという問題については、未だ謎のままでした。



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