竹葉 久美子
アスキー・メディアワークス (2011-01-27)
売り上げランキング: 153,538
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ついにと言いますか、密かに楽しみにしていた『やさしいセカイのつくりかた』が終わってしまいました……。
そんなわけで、KADOKAWA/アスキー・メディアワークスから、竹葉久美子先生の作品です。
全体的におっとりとした進行、ほのぼのとしていてもドラマはしっかりしている。そんな構成が好きで、Kindleでは追い掛けていたのですが……まあ、良くも悪くもすっきりとした終わりではあったでしょうか。
私はもう少し続いても良かったなあと、そのように思う所なのですが。
王道展開&異色キャラクターのコンビネーション。
この作品、主人公が天才学者でしかも教師という。そのような、一般人とはかなり遠く離れた所からスタートいたします。教師と学生が恋愛するという、いわゆる学園恋愛漫画のそれな空気はあるのですが、この場合は主人公が天才肌なので、生徒とあまり歳が変わらない、というお話でした。
これ、ちょっと良いですよね。教師×生徒という展開でありながら、必ずネックになるであろう『年齢の差』というものが、そもそもドラマとして組み込まれていないところ。
なので、禁断の恋愛にしては空気がとても明るいなあと思いました。
とはいえ、主人公は恋愛に興味がある雰囲気ではなく。若いのに達観し過ぎていて、恋愛対象が生徒なんていう事は勿論有り得ないと。
そう、『歳の差』ではないものの、やはり『教師と生徒』という関係は保っているのです。そのおかげで、非常に独特なドラマが構成されている。
恋愛漫画は清潔感がある方が好きなタイプなのですが、この作品は素でそこをダイレクトに突き進んでおりまして。そんな部分が好きなのだなあ、と再確認させられます。
ちょっとほっこりする絵柄も良いですよね。
そんな主人公に対して、この作品はメインヒロインが2人、登場いたします。
学力は普通で見た目はギャルだけど、実は純情で乙女な女の子。
実は勉強が出来るけれど、とある事情から周囲に勉強が出来る事を隠している女の子。
いやー。こういうベタな人物構成あるじゃないですか。やっぱりベタというのは、人気があるからベタな訳でございまして。
私はやはり……好きですよ。
でも、最初は恋愛には全く向かって行かないんですよね。主人公は上記の通りの堅物で、勉強できるヒロインは別に主人公には興味がなく、勉強できないヒロインは主人公を敵視しており。
あれ……? ラブコメとして詰んでない?
……という所なので、この先をぜひ、読んで確かめて頂きたいなと。
キャラクターの掘り下げが素敵。
残念な事に私、数学方面はちっとも分からないので……それが理に叶っているとかそれっぽい、と言った事はまるで分からないのです。なので、文章の節々に出てくる『頭良い系数式』は、残念ながらさっぱり理解できませんでしたよ。知っている単語もひとつもなかったですし。
フラクタルな構成のイマジネーションがクールなエンジョイ感を生み出していてですね。
すいません、無理しました。
でもドラマの方はですね。登場人物が等身大で、少し嬉しかったですね。
反応が自然な所がとても素敵で、特に割と世間ズレしている雰囲気のある主人公が女子校に来るという、一見どう処理をして良いのか分からなくなりそうな各シーンが自然に流れて行くのですよね。
私なんかが書くと、きっとまるで想像できませんので、壮大なファンタジーになっていたことでしょう。
……いやー。
やはり、ここに作品の実力というものを考えさせられます。
そのように自然な心情描写や反応に対して、代わりにキャラクターの過去などの裏打ちは少なめです。
過去に何があったのかが出て来ない訳では無いのですが、それが直接的に本筋のシーンに影響を与える物では無い場合もあり。
やはり、登場人物に深みを出すために描かれているのだろうなと。私としては、そのように感じました。
おっとりした作風だけに、話のテンポやスピード感なども、のんびり進行ということで。疾走感という意味では、少々物足りない可能性もあるでしょうか。
疾走感……?
ラブコメで疾走感……。
……まあいいでしょう。
ラブコメはラブコメらしく、まったり楽しみたいですね。
ところで、内容はラブコメなのに、何だか頭が良くなったような気分になれます。これはアレですね。俗に言うカレカノ効果(?)というやつでしょうか。
頭良い人のラブコメは理性的な進行になることが多く、ドロドロとしない所が良いですね。いや、私としてはドロドロとした恋愛描写も結構好きなのですが。
やはりこの作品は、まったりと喫茶店で全巻読破したいなと。まったりラブコメにはやはり、まったり紅茶とケーキでしょう。癒されますね……!
まったり。
単行本も6巻構成で中編程度なので、ふとした仕事の息抜きにはいかがでしょうか。
いやー、良い癒され作品をありがとうございます。
お後がよろしいようで。
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2013-03-28)
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