浮遊する無名作家の浅慮

物語構造の構築④ 対極の登場人物を設定すると楽?


対極の登場人物

物語構造の構築、『登場人物』編、後半です。

前回、主人公となる登場人物二人の性格は、対極にすると書きやすいよ! という話をしました。
今回は、そんなお話を少し掘り下げて行けたら良いなと思っております。
昔やっていた事を少しずつ思い出しながら……経験してきた事を説明するというのは、また違った難しさがありますね。



 『対極の登場人物』をつくってみよう!


さて、論より証拠ということで、早速『対極の登場人物』というものを考えてみたいと思います。
これまで考えてきた作品(仮)の登場人物二人には今のところカラーが無いので……テーマは『嘘をつく二人』という事になっていたので、今回は二人のキャラクターをこんな雰囲気にしてみます。

A君:日常的に嘘吐き。女の子が大好きな、軽い雰囲気。
Bさん:しっかり者で、自分に厳しい。口数は少ない。

書くのは一行でも何でも大丈夫です。なんとなく、登場人物のイメージが頭の中に創られるという事がだいじ。
沢山書いても良いのですが、多分シーン構造をはっきりさせていく過程で雰囲気が著しく変化していくので、気楽に考えてください。


最初のイメージが変わるんじゃなくて、ディテールが加わる事でより繊細でリアルな人間になっていくんですね。ここの感覚が、結構重要だったりして。

物語の構造ができる前に登場人物をはっきり定めてしまうと、うまくシーンに溶け合わない……というのも、理由が分かっていくと思います。


 考えた登場人物の雰囲気を、シーンを通して考える

それでは、実際のシーンに当てはめて行きましょう。告白のシーンから思い付いたテーマなので、まずは告白のシーンを変えていきます。
基となるシーンは、これですね。

○告白のシーン
・A君が、Bさんに告白する。
・でも、BさんはA君の告白に答えられない。
・その反応を分かっているA君も、答えられる事はないということを理解していた。

A君が嘘吐きだとしたら、このシーンはどうなるでしょう。
若しも、過去に嘘の告白をしていたとしたら? 二人の気持ちは本当でも、Bさんはまた、『A君が嘘を吐いた』という事にしたくなりそうですね。
BさんはBさんで、病気の事を話していなかった、という落ち度があるので、これも嘘にできそうですね。

なんだか、シーンのイメージが少しずつ変わって行きますね……

自分の想像を壊さない程度に、自由な変化を体感していきましょう……!!

テーマは嘘を吐く二人なので、A君は嘘吐きを克服すること。これを、物語の主軸に置いたとします。
真面目に告白するのが最後のシーンで、Bさんはそれを「どうせまた嘘なんでしょ?」って言うとか……

……あれ、ということは、二人の恋は成就しないのか……。別に、ハウツーなんだからこんな話にしなくてもいいのに……
まあいっか。

展開としては、こうなりそうですね。

-------------------------------------------------
○主人公とヒロインが出会う
・学校。クラス替え?
・A君とBさんが出会う。ぎこちない会話?
・関係も曖昧なまま。でも、A君は少しだけ、Bさんの事が気になっていた。

○主人公がヒロインを好きになる
・状況は未定
・Bさんの何かの様子を見て、A君がBさんを好きになる。
・できれば、仲良くなりたい。そのようにA君は思う。

○主人公とヒロインの仲が友達以上恋人未満までに成長する
・状況は未定
・A君はBさんに、何かを話す。
・BさんはA君と話題を共有し、A君に対して好意を抱く。

○最近様子がおかしい……
・A君の通う学校に、Bさんの姿が見えない。気になって携帯電話に連絡してみるも、留守電。
・何かあったのでは? A君は思うが、家の場所は分からない。友人も知らないと言った。
・こうなったら、先生に聞いてみるしかない。

○主人公がヒロインの病気について理解する
・A君はBさんが病院で入院しているという事を、先生に聞く事になる。
・何も知らされていなかったA君は、Bさんの居る病院へと走ることに。
・何も伝えていなかったBさんは、A君が唐突に病院に現れた事で、驚きを隠せなかった。
◆A君は、どうしてBさんが病気の事を話してくれなかったのか、その事について聞く。
◆Bさんは、A君にだけは知られたくなかった。嘘を吐いていたと、話す。

○告白のシーン
・A君が、Bさんに告白する。
◆Bさんが、A君の態度の変化に気付く。その気持ちが本当だという事が分かってしまったので、A君に言う。「どうせまた、嘘なんでしょ?」
◆違う。今度は本当だ。A君はそう言うが、Bさんは信じない。
・でも、BさんはA君の告白に答えられない。
・その反応を分かっているA君も、答えられる事はないということを理解していた。
-------------------------------------------------

構造中の『◆』を、新たに増やしました。
どうでしょう。追加したのは思い付いたワンシーンと、その手前のシーンだけですが……急に、物語が色付いてきたような気がしないでしょうか。

え? しない? ……ごめんなさい、そこはイメージ次第で……

それに伴い、手前のシーンも中身が少し変わりそうですね。例えば、告白のシーンをこのようにするのであれば、その手前で一度目の告白がある筈ではないか。
そして、それはA君にとって真剣な告白では無いであろう事も分かって来ます。

あれ……。綺麗な話で解説を進めるつもりだったのに、なんだかあんまり綺麗じゃないぞ……
皆さんは、もっと綺麗な話で考えてみてくださいね。


 対極の登場人物を描く事の『楽さ』について

さて、ここで前項にて解説した話に一旦、戻らせてください。
ある物語における登場人物を対極に配置すると、作者にとって感情のすれ違いが分かり易いから初心者向けだ、というお話でした。

では、ある物語って何でしょう……? 物語とは、あるシーンの集合体でした。
あるシーンとは、ある状況におかれた登場人物が、ある目的を持って行動をすることで、それに伴う結果までの流れを示したもの、でしたね。
ここで言う所の、『結果』とは何でしょうか。……そう、登場人物双方における感情の変化ですね。

誰かが何かの行動を起こした事によって、別の誰かはその行動に対して、必ず反応するというルールがあるんですよ。
基本的にここだけは、絶対普遍のルールになります。

で、対極の登場人物を設定する事によって、この『反応』がとても美しくなるんですよ。

A君:『Bさんに気持ちを伝える』という『目的』を持ち、『告白する』という『行動』を行う。
Bさん:『告白される』ことで、自分の立場を理解する。『告白には答えられない』という結果を返す。

告白のシーンで描かれている内容の概略です。
この行動から、二人に生まれる結果――つまり、感情の変化――を追求します。そう考えた時、『行動』した事によって二人の感情に差異が生まれなければなりません。

全く同じ事を考えている二人なら、そもそも対立は起きにくいですよね。
まあ、考えている事が全く同じって、そんな人は中々いませんが……

逆を言えば、登場人物二人の差を激しくすることで、より激しい感情の変化を描けるという事でもあるんです。

ドラマは激しい感情の波を作ることが要求されるので、必然的に極端なシーンばかりで構成され易いものです。
登場人物二人が対極の存在として居れば、生まれる二人の結果は必然的に違うものになりますよね。
だから、『初心者向け』な内容になるということです。



 より難しい登場人物設定のこと

では、『上級者向け』ってどうするんだ? 例えば、二人共真面目だったらどうやって作るんだよ。
一応、その問にもひとつの回答がありまして。

その答えは、『手前のシーンまでで、登場人物の経験に変化を与えること』です。
二人共真面目だったら、A君はそもそもBさんに軽く思われるような事はしたくないから、告白をしないかもしれません。でも、告白をするように仕向けなければいけないのです。
その大前提を、Aさんが逃れられない形で作ってあげればいいです。

例えば、Bさんが一度も彼氏を作った事がないとか……その上で、一度はデートをしてみたいと思っていたとか……
Bさんは、A君の配慮を理解した上で、告白を断る理由を作らなければならないのです。
A君がそれとなく、二人の未来を夢見ていたとか……

作る内容が増えると書いたのは、そういった部分のことですね。

自分の思い描く、自分の好きなキャラクターを物語構造に溶け込ませる方法が、それとなく理解出来たでしょうか。
さあ、次なる大きな変化要素、『世界観』に駒を進めましょう。




← 一つ前の記事
物語構造の構築③ 登場人物を考える意味と物語に与える影響

→ 次の記事
物語構造の構築⑤ 世界観を設定するために


スポンサーリンク
スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿