さて、テーマと登場人物がはっきりしてきたところで、次に考えなければならないのはこちらです。
世界観!
何を今更、と思うでしょうか。実際、思い付いた話のイメージから世界観というものは、何となく考えられてしまっている事が多いかもしれません。
では何故、世界観を今になって立ち返る必要があるのか。……それは、これまでに作った内容をやるに当たり、最適な世界背景というものが変化する可能性があるからです。
……とは言っても、実際は「この話を書きたい」欲求から、縛りが出ることが多いだろうと予測します。その場合は、参考程度に読み飛ばして頂ければと思います。
最初のイメージだって、大切にしていいんだ……!
世界観を考えてみよう!
とまあ、そんな話はさておき。何故、最適な世界背景というものがここに来て変わる可能性があるのでしょうか。
お話が作られていくと、今までに考えていた内容とは大きく形が変わる可能性がある、という事は、これまでの流れを通してそんな事もあるんだな、と思って頂けたと思います。思って頂けたでしょう。……思って頂けたらいいな。
結局のところ、色々な事を考えながらも、お話が完成していく流れは下記のような手順で進む事が多いです。
1.自分が面白いと思ったシーンを決める。
2.思い付いたシーンから、その前後関係を探り、ストーリーの全体像を掴む。
3.ストーリーの全体像から、この物語が何に焦点を置かれるべきなのか、問題の主題を定める。
4.主題の定められた物語から、それに関わる登場人物を洗い出す。
まあざっくり言ってしまうと、これこそが、これまでに行われてきた内容になります。
(そもそもシーンをまだ思い付いていない場合はさて置いて)あるシーンを思い描いた時、そこに現れて来るのは本来書きたかった話のほんの一部に過ぎません。
その一部から広げていき、話は長くなっていき、物語となり、そうすることで主題が見え、登場人物のかたちが明瞭になっていきました。
考えてみれば、わりと理に適った手順のように思えます。
初めから全てを作る事なんて無理なので、やっぱりこういうのは紙に書き出して、そこから練り直して……を連続して行わなければ出来ないんですよね。
なるほど、だからプロットが必要なんですね。
いや、ヤラセじゃないですよ?
例に出してみよう!
ということで、世界観が変わる場合を一応、やってみようと思います。前項の『テーマ』『登場人物』を考慮して、構造に手を加えたものが下になります。
◆テーマは『嘘』
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○主人公とヒロインが出会う
×A君とBさんが出会う。ぎこちない会話?
◆A君は、ノリの軽い青年。携帯電話を片手に、幾つもの女子とメールをしている。
・学校。クラス替え。
◆A君がBさんと初めての出会い。奇遇にも、席が近くに。新しい女子だったので、A君はBさんを観察する。
・↓関係も曖昧なまま。でも、A君は少しだけ、Bさんの事が気になっていた。
◆地味な女。……声を掛けるのは初めてだな。
○主人公がヒロインを好きになる
◆誰かの提案で、A君とBさんを含めた休日の集まりが勃発。
◆その場で、初めてA君はBさんと話す事に。いつもの通り気軽に話し掛けるが、BさんはA君を避ける。
◆何だ……嫌われているのか? A君は思うが、Bさんは誰にでもそういった態度を示すという事に気付く。
・↓Bさんの何かの様子を見て、A君がBさんを好きになる。
◆何か、事情があるに違いない。身持ちの固い女は嫌いじゃない
・できれば、仲良くなりたい。そのようにA君は思う。
○◆会えないヒロイン <<New!
◆A君はBさんのメールアドレスを聞き出し、二人で会いたいと話す。……が、Bさんはことごとく無視。
◆どうして、あんなに人を避けるんだろうか。A君はそう思い、Bさんを無理矢理呼び出す。
◆理由を聞くと、Bさんは「人が苦手だから」と話す。
◆A君は良い人を装って、Bさんをどうにか連れ出そうとする。
◆「……わかった。いいよ」曖昧な、Bさんの返事。
○◆本音で話し合うようになる。 <<New!
◆二人で会うが、Bさんはあまり喋らない。一応デートなので、A君は予定通りに進めていく。
◆あまり、楽しそうじゃないような。……でも、なんだか楽しそうなようにも見える。無理をしている。複雑な心境。
◆予定通りに告白をすることに。一応これで、手順は追ったが――……
◆Bさんは、A君の事を見抜いていた。「うそつき」Bさんの言葉に、A君は驚く。
・↓A君はBさんに、何かを話す。
◆仲良くなりたいだけだ。A君は弁解するが、なら自然にしていればいい、とBさんは話す。
◆まるで、本当の自分を見せたくないみたい。Bさんの言葉に、A君は考えを改める。
○◆今度は近寄れない <<New!
◆A君はBさんと、真面目に話してみようと試みる。だが、Bさんは会おうとしない。
◆Bさんの周りには、極端に人が居ない事に気付く。理由を聞きたいが、本人は不在。
◆無理に話し掛けようとして、怒りに触れてしまう。もう、話し掛けて来ないで欲しい。
◆どうして、そんなに人を避けるのか。その理由が知りたい。
○主人公とヒロインの仲が友達以上恋人未満までに成長する
◆夜、A君はBさんを発見する。寝間着のまま、どこかに歩いて行こうとするBさん。
◆追い掛けると、ビルの屋上へ。こんな時間に、ビル……? そもそも開放されているとは。驚きながらも、A君は追い掛ける。
◆Bさんは、屋上でA君の尾行を発見する。どうして、こんな所に。
◆なんで、そんなに人を避けるんだ。ついに口に出すと、Bさんは笑う。
◆仲良くなったら、また嘘をつかれるのが分かってるから
◆悪かったと、思う。もう、嘘は付かない。だから、本当の事を教えて欲しい。
・BさんはA君と話題を共有し、A君に対して好意を抱く。
○最近様子がおかしい……
・A君の通う学校に、Bさんの姿が見えない。気になって携帯電話に連絡してみるも、留守電。
・何かあったのでは? A君は思うが、家の場所は分からない。友人も知らないと言った。
◆A君は、Bさんの言った言葉の意味を考える。また嘘をつかれるって、どういうことだ……?
・こうなったら、先生に聞いてみるしかない。
○主人公がヒロインの病気について理解する
・A君はBさんが病院で入院しているという事を、先生に聞く事になる。
・何も知らされていなかったA君は、Bさんの居る病院へと走ることに。
・何も伝えていなかったBさんは、A君が唐突に病院に現れた事で、驚きを隠せなかった。
・A君は、どうしてBさんが病気の事を話してくれなかったのか、その事について聞く。
・Bさんは、A君にだけは知られたくなかった。嘘をついていたと、話す。
◆だって、本当の事を言えば、また皆が仮面を被って、嘘の顔で私に優しくするでしょう
○告白のシーン
・A君が、Bさんに告白する。
・Bさんが、A君の態度の変化に気付く。その気持ちが本当だという事が分かってしまったので、A君に言う。「どうせまた、嘘なんでしょ?」
・違う。今度は本当だ。A君はそう言うが、Bさんは信じない。
・でも、BさんはA君の告白に答えられない。
・その反応を分かっているA君も、答えられる事はないということを理解していた。
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ちょっと待てや
あれ? 増えすぎじゃね?…………急にぶっ飛んでごめんなさい。
『◆』が新たに追加された部分、『×』は消えた部分、『↓』は変化した部分となります。
色々増えましたが、びっくりしないで下さい。読んでいって納得して頂けると良いのですが、新たに発生した『状況』と『目的』と『行動』、『結果』を並べただけです。
一度完成したシーンを、登場人物の人柄を考慮して、より細かく深掘りしています。
これをやると、物語に深みが出てきます。
テーマと登場人物を定めることで、これだけの要素を物語構造に詰める事が出来るようになるんですねえ。
でも、重要なのは最初のシーン構成を考えておいたから、という事も忘れないであげてくださいね。
勿論、テーマとキャラクターが変われば、物語はがらりと姿を変えます。こんなに悲劇な物語にはならないかもしれません。
さて、これだけの内容が詰まった所で、もう一度考えてみましょう。
この物語、学生でいるべきなのでしょうか? ……それとも、社会人の方が深い内容になるかもしれない?
時代背景はいつごろ? ファンタジー……にする必要があるかどうかは、要検討ですが……
和か洋かでも、姿は一変しますね。ストーリーからすれば、どことなく日本っぽさがありますが。
…………と、こんな感じで、世界観を考え直すと、より深い内容に辿り着けるかもしれません。
今回は訓練なので、学生から社会人に変更してみることにします。
そもそも『嘘を吐く恋』って、大人の恋愛っぽいという部分もありますからね。
次回に続きます!
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